8月15日に寄せて

アメリカではVJ Day(対日戦勝記念日)は時差の関係で8月14日だが、日本で育った者としては終戦記念日といえばやはり8月15日である。ちなみに8月15日はカトリックでは聖母被聖天の祝日で、夏のバカンスシーズンの終わりでもある。今年は約一ヶ月に渡って猛暑(といっても100 °Fになるかどうかという程度だが。ただし今年は、日本並みとはいかないものの、ひどく湿度が高かった。)の続いたオマハだが、昨日の午後から涼しい風が吹き始め、いきなり夏の終わりを思わせる季節に突入してしまった。

8月6日、広島原爆記念日に合わせて、地元の平和団体(Nebraskans for Peace)が州都リンカーンで日本の原爆作家、林京子の放送劇「フォワグラと公僕」の英訳を上演するのに同居人の付き合いで行ってきた。登場するのは元米軍軍人の夫ボブの墓参に来た日本人妻ユーコとボブの亡霊、観光でそこに居合わせた日本人医師オキタ、それにユーコの孫たち。ボブはコレヒドールで日本軍に捕われ、戦争中を捕虜として富山で過ごした。ユーコは名古屋の空襲で両親を失った戦災孤児。オキタは医学生として爆撃直後の長崎に入ったという過去を持つ。

上演のあとでこの劇を翻訳した日本人英文学者ツクイノブコさん(University of Nebraskaで学んだ人で、その縁で今回のイベントが開催されたらしい)との質疑応答。原爆に対する現在の日本人の受け止め方はどうかという質問に、ツクイさんは「あまり大きな反響はない」と答えられた。その背景として、縁談し差しさわるとして被爆の事実を隠すことが多かったことなどを挙げられたが、それだけだろうか?これはやはり戦後の米ソ冷戦構造の中で、原爆をあまりに大きく取り上げて米政府の不興を買うことを恐れた日本政府の有形無形の圧力があったのではないだろうか?

同居人によると、この日の観客の多くはUniversity of Nebraskaのfaculty連中だということなので、この場の雰囲気をもって中西部辺境の一般的な原爆に対する意識を測ることは難しい。