Can the Bulldog Be Saved?

今日のNew York Times Magazineの記事から。今風に言えば、「ブルドッグって、おわってる?」ていうところ?ブルドッグの品種の「理想」を追求し続けたあまり、純血のブルドッグは動物として生きていくのに適さなくなってるのではないかという記事。へちゃむくれた平らな顔のため気道が狭く、少し運動させるとすぐに息切れする。食物を誤嚥して肺炎を起こすこともしばしば。処置のために麻酔をかけ、挿管したら、覚醒しても自己抜管しないのだそうだ。(挿管されている方が、普段より呼吸が楽なためらしい。)皮膚にヒダがあるのが良いとされるため、しわの間に感染を起こす。角張った体型のため、いまや自然に交配することもできず、出産も帝王切開を要する。これがGM(遺伝子組み替え)で作られた品種なら、環境保護団体をはじめとする色々な団体がさんざん反対運動を起こしているだろうが、これは「普通の」交配で生み出された品種なので、大声で反対を唱える人はまだ少ない。しかし、イギリスのケンネルクラブはすでに「理想のブルドッグ」の定義を少し変更し、人工的に定義された「理想」のために動物の健康を損なうことがないようにという動きを見せている。

ブルドッグの人気の秘密は、そのへちゃむくれた顔、ずんぐりした体型、人が介助しないとほとんど何もできないところが、まるで(人間の)赤ん坊のようで、飼い主の母性本能をくすぐるのだそうである。ドッグショーではnon-sportingカテゴリーだが、同じカテゴリーの(見た目の)対局ともいえるのがプードルである。わたしは個人的には断然ブルドッグよりはプードル派であるが、好みの犬のタイプによる性格診断なんてあるのかしらん。(プードルはなんと言っても、あの長い鼻面がいいよね。賢そうで。テディベアカットだか何だか知らないけど、せっかくの長い鼻面が映えないのは好きじゃない。)

長いけど一気に読める興味深い記事。とくにペット好きには一読の価値ありと思う。

日本の凋落 — 今日の NYT から

今日の New York Times に The Great Deflation – Japan Goes From Dynamic to Disheartened という記事が。

この二十年の日本経済の凋落を扱った記事で、これといった新しい発見はない。不動産価格の低迷、これみよがしの消費の衰退、とくに若い世代が外に野心を向けなくなったことなど、これまで何度も言い古されたことをを論じているが、その中であれっ?と思ったのが、「生活レベルの低下」という指摘。たしかにこの記事の「主人公」の一人である中小企業のオーナーは、海外旅行を諦め、ベンツを手放し、17年前に買ったマンションを、買値の3分の1の値段で手放さざるを得なくなった。しかし、この記事には出てこないが、この「主人公」氏はおそらく最新型の携帯電話を所有し、ベンツから乗り換えた国産車も頻繁に新車に乗り換え、家のトイレはウォッシュレット、洗濯機は乾燥機能つきの front loader 全自動なんじゃないだろうか?そういう点は伏せておいて、ベンツを手放したことだけ書くのはちょっと酷い。それにマンションが買った時点より値下がりするのは、日本では昔から当たり前のことなんじゃないの?中古マンションが値上がりしてたのは、バブルの一時期の異常現象なんじゃないの?沈滞する消費動向の象徴として大阪の千林商店街がふさわしいのかどうかもわたしには疑問である。(ちなみにわたしは大阪出身。)

ただ、日本に漂う「活気のなさ」という指摘には頷ける。(これも言い古された問題点だが。)アメリカから日本帰ったときにいつも思うのだけど、とくに時刻表も調べずに東京駅に行ったら、10分おきに大阪方面行きの新幹線が出てる、それが定刻に発車するなんていうのは、これは世界標準でみたら信じられないほどすごいことなんだよ。こういうすごい国に住んでいながら、どうして皆、もっと自信を持てないのか、不思議でたまらない。それともこれは、高度成長期に育ち、大学時代はイケイケバブルだったお気楽世代の偏見か?

NYT とかが日本のデフレに注目するのは、日本が心配というよりは、今の世界的不況が「日本化」して、アメリカやヨーロッパも「失われた10年」「失われた20年」になるのではないかという懸念が原因である。わたしは経済のことは全く素人でしかないが、日本経済不振の背景には、純粋のお金の問題だけでなく、国民のメンタリティが影響を落としている部分が相当にあるのではないかと思う。日本では「失敗」は許されないから。それに引き換え、アメリカは今でもむき出しの野心とか欲望というものが許容される世界だし、失敗してもやり直しは効くし、イケイケメンタリティな外国人がどんどん入ってくるし、日本ほど鬱屈することはないんじゃないの、とお気楽世代は考えてしまうのだった。(もちろんこれには自己中心的な希望的観測も入っている。だって、わたしの老後資金は全部アメリカ国内にあるのだから、アメリカ経済に転けられると困るのだ!)

ニュースサイトの有料化

New York Timesから「あなたの意見をお聞かせください」というメールが来た。「所要時間20分」とあったので、ちょっと嫌な気がしたのだが、(向こうが「20分」と言ってくるアンケートは、たいてい非常に長い。)こういうものにはなるべく参加するようにしているので、指定のURLをクリックした。

アンケートの内容は、「あなたはどのようなメディアを通じてニュースを知りますか?」という質問から始まって、紙媒体の新聞、雑誌の購読の有無、ニュースにアクセスするのにどのような電子メディアを使っているか(デスクトップ、ラップトップ、スマートフォン、電子リーダー)、iPadを持っているか若しくは近いうちに購入する予定はあるか、どのようなニュースサイトを定期的に利用するか。

ここまでは言ってみればまあ、時候の挨拶みたいなもので、New York Timesが本当に知りたいのはここから先。

「nytimes.comは来年から有料になります。月$10ならあなたはアクセスしますか?」

これに「ノー」と答えたら、次は「$10の8割引ならアクセスしますか?」(何でこんな回りくどい言い方をせず、$2と書かないんだろう?)

「次の料金設定のうち、あなたが一番良いと思うものを選んでください。」

この料金設定の質問が延々と続いた。日曜版(紙媒体宅配)プラス電子版無制限で月$60とか、日曜版プラス電子版記事月に10本で$20とか(正確な設定、金額はよく覚えていない)、とにかくありとあらゆる組み合わせ、値段で、これでもか、これでもかと聞いてくる。しかもページによって、同じ組み合わせでも値段が違ったり。わたしは紙媒体の宅配購読料を払っている以上、電子版に追加料金を払う気は全くないので、「以上のどれでもない」と答えたかったのだが、そういう選択肢はなかったので、適当に安そうなのを選んでおいた。ちなみにうちは同居人が紙媒体を好むので、今のところ紙媒体なし、電子版オンリーという購読モデルは厳しい。

インターネットの普及で、従来のジャーナリズムが存亡の危機に立たされていることは理解している。無料のニュースサイト、ブログが山のようにあるとはいえ、それらの記事の中には、プロのジャーナリストの記事を焼き直しただけのもの、他人の取材を元にしたものが多いこともよくわかる。でも、わたしの個人的な意見を言わせてもらうと、すでに紙媒体にお金を払ってる読者に追加料金を払わせようというのはどうもいただけない。ついでに言うと、わたしはNew York Timesに限って言えば、紙媒体に印刷されている広告も好きなので、電子版にそれが一緒に含まれてきてもかまわない。むしろ、ネット用の変なおばちゃんがお尻を振ってる品のない広告より、ルイヴィトンやティファニーの広告の方がずっと気が利いていると思う。

イギリスのTimes(Murdochの新聞)は、有料化してから訪問者数が90%減ったらしい。しかし、一部にはこれは予想通りの数字で、訪問者数が激減しても、残った読者からお金を取る方が経営上は良いのだともいう。インターネットのおかげで外国の新聞、雑誌も送料、配達の遅れを気にすることなく読めるようになったのはありがたいのだが、いったん無料システムに慣れてしまうと、有料化されるとすごく損したような気になるのは否めない。