Vicky Christina Barcelona

ゴールデングローブを受賞したウッディ・アレンの新作。
内容的にはたわいのない大人のコメディだけど、バルセロナの風景が楽しめます。

しかし、ヴィッキーの婚約者役の男というのは、こいつと結婚したらその先の人生、もう完全に予想がつくという感じがよく出ていて、笑えるというか気持ちが悪いくらいというか。結婚して二三年のうちに子供をつくって、少しずつ間を開けて子供は三人くらい。学校は私立で、休暇にはヨーロッパに行って、「ヨーロッパはいいわあ」なんて言ってるけど、実はヨーロッパでもアメリカ人以外とは付き合いなしって具合?作中にも彼らの行く末を思わせるカップルが登場しました。

Lawrence of Arabia

「アラビアのロレンス」、絶対に映画館の大画面で見る値打ちのある映画の一つである。初めて見たのは中学の頃だったか、学校の講堂で見て完全にマイってしまった。「好きな映画は?」「好きな俳優は?」と聞かれると、必ず筆頭にあげる映画なのだけれど、ちゃんと通して見るのは実はその学校の講堂での上映会以来、二度目。なにしろ中休みを挟んで四時間近くかかる長丁場だから、めったやたらと見られるものではない。幸い近くの映画館で、それも修復して新しくプリントした35ミリフィルムで上映するというので喜び勇んで見に行った。
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WALL-E

久しぶりの映画。Disney/Pixar制作のロボットロマンス。ストーリーそのものよりも、あちこちにちりばめられたギャグや古い映画のパクリが面白い。たとえばWALL-Eの太陽電池が充電されて起動するときの音はマック(コンピューター)の立ち上がるときの音と同じだとか、集めたゴミの中にルービックキューブやiPodがあったり、「2001年宇宙の旅」や「スターウォーズ」を彷彿とさせるシーンが続出したり。アニメなので映画館には子供がたくさんいたけれど、子供がおもしろいと思うシーンと、大人がおもしろいと思うシーンが完全に分かれる映画です。

When We Were Orphans

The Remains of the Day で知られるイギリスの作家 Kazuo Ishiguro の小説。 Ishiguro はいちおう日本生まれではあるが、育ったのはイギリス、作品も英語ばかりだから、イギリスの作家とするのが適当だと思う。

上海で阿片貿易の片棒を担うイギリスの会社に勤める Christopher の父が行方不明になり、間もなく、 Christopher の敬愛する美しい母も誘拐される。孤児となった Christopher は、イギリスの親戚のもとで育てられ、やがて大学卒業後、探偵として名を馳せるようになる。しかし、彼が探偵となった真の目的は、子供の頃に行方不明となった父母の行方を探すためであった —

主人公の一人称による語りでストーリーが展開し、彼の思考が前後するたびに、時系列に関わりなくエピソードが繰り広げられていくのは、 The Remains of the Day と同じ、 Ishiguro 独特の展開法である。 The Remains of the Day が「執事」というもっともイギリス的な職業に視点を当てたとすれば、この When We Were Orphans の主人公、 Christopher Banks の職業は探偵、ということで、読み手がシャーロック・ホームズやエルキュール・ポワロといったイギリス人作家の生んだ名探偵を思わず連想してしまうのは、作者が最初から意図したことであろう。しかし舞台が二十世紀前半の上海ということで、ホームズやポワロとは全く違った背景が設定される。

(ネタバレになるので、これ以上詳しく、筋書きは書きません。)

この作品を読む前に、 The White Countess という第二次大戦前の上海を舞台にした Merchant-Ivory 映画を見たことがあったが、この映画の脚本は実は Ishiguro が書いている。表向きは「上海」を除けば、 When We Were Orphans とはあまり共通点はない。しかし、 The White Countess の Todd Jackson は、ある意味で When We Were Orphans の Christopher Banks の裏返しであり、もしかすれば The White Countess は When Were Were Orphans のもう一つの結末とも言えるのではないかと思うくらい、その世界は不思議に似通っている。

The Other Boleyn Girl

近所の格安映画館で上映中の The Other Boleyn Girl を見た。ブリンと言えば、ヘンリー八世の二番目の妃、アン・ブリンを思い浮かべるが、実はアンの妹(?姉とも言われる。どちらも出生年の記録が残っていないらしい。)メアリもヘンリー八世の愛人で、王を巡る姉妹の確執を中心に、斬首によるアンの死までが描かれている。

出演はアン・ブリンにナタリー・ポートマン(「スター・ウォーズ」のお姫様)、メアリ・ブリンにスカーレット・ヨハンソン(「ロスト・イン・トランスレーション」)と、なかなか豪華で、衣装も結構凝ってるのだけれど、興行的には今ひとつだったらしい。最近の人気テレビドラマの一つ、「テューダー」と同じ時代、同じ題材を扱っているのに、この差は如何に?

ひとつはストーリー展開が複雑すぎるのではないかと思う。二時間弱の間に三人の女性の三回の出産シーン、それぞれのシーンで誰が誰を生んだのか、予備知識なしに見れば混乱するばかりではないか。あと、「テューダー」はソフトポルノと呼ばれるほど、「大人向け」なのだけど、この映画は大スターを使ったためか、そのへんがひどくユルい。集客のためにそのようなものを多用するもの情けない話だが、一方のテレビ番組がそういう評判であるので、どうしても比較されてしまうのだろう。

ちょっと興味深かったのは、女性キャラクターが総じて強いこと。アンとメアリの姉妹はもちろんのこと、富と権力のために娘を売る夫に逆らうことはできないが、それでも芯の強さを見せるブリン夫人、ヘンリーの最初の妃、キャサリンなど、存在感のある女性の多い映画だった。