iPad2体験記

ほんの2年前までは、携帯は買って10年近くになろうかという時代物、「そんな古い機種、充電できなくなるでしょ?」と言われても、そもそも電話自体ほとんど使わないので関係ない、という状態だったのだが、この2年ほどの間に電話はiPhoneに買い替え、読書はKindle、家のコンピュータはMacBook Air、なぜかiPad2も持ってるという、アメリカ経済に貢献する消費者の鑑(?)に変身してしまった。

日本ではiPadが出たときに「電子書籍リーダー」として紹介されたようだけど、わたし個人の感想としてはiPadは重すぎて手軽に本を読むには向いていない。自分の用途として何に一番近いかといえば、この手のビジネス用ポートフォリオケース

ノートパッドにペン、資料などをまとめて持ち運べて、物によっては電卓を収納するコンパートメントもあったり、というオフィス文房具である。

最近は論文の類はすっかり印刷しなくなった。こちらがコンピューターの画面上で読むのに慣れたのと、学術系出版社のサイトデザインが向上して画面上で読みやすくなったこととが相まって、論文は印刷しないだけでなく、基本的にはローカルのハードドライブに保存することも止めてしまった。(論文やグラントに引用文献一覧を作成する必要上、論文のデータはデータベースに保存している。)しかし、その場で読めない論文、ちょっと詳しく読みたい論文などは、DropboxにPDFをダウンロードして、iPadから開いた時間(ミーティングの待ち時間とか)に読むようにしている。昔なら印刷して、メモ帳といっしょに持ち歩いていたのと同じ感覚である。iPadの良い点は、画面のスクロール、ズームイン・ズームアウトがスムーズなこと。Kindleを買った当初、KindleでPDFが読めると聞いて試したことがあるが、iPadに比べると、全くお話にならない。新しいKindle Fireは試したことがないが、タッチスクリーンの操作性は”You get what you pay”だと聞く。

それから、もう一つ愛用しているのがメモ取り機能。周囲のiPad userを見ると、最初から付随のNotesというアプリケーションを使って、オンスクリーンキーボードでポチポチやってる人が多いが、わたしはとにかく縦長ディスプレイに拘りがあるので、縦長にするとキーボードが狭くて操作性が悪い。しばらくはブルートゥースのキーボードを持ち歩いてみたが、それだとMacBook Airを持ち歩くのとあまり変わらない。(MBAは縦長では使えないけど。)しばらく試行錯誤した末、現在一番満足しているのが、Notes Plusというアプリケーションである。最新版はキーボード入力のみならず、手書き入力を変換する機能もついており、なかなか精度よく変換してくれる。(手書きの問題点は、全体をグラフィックとして保存するので、iPadのような非力なマシンだと、ページめくりが遅いのである。テキスト(アルファベット)にするとファイルサイズが縮小し、ページめくりのモタつき感がない。)もう一つ、無料のNotesにはできない機能としては、フリーハンドで描いた絵を入れられること。セミナーのメモを取るには、非常に重要である。

ということで、自分にとってiPadは基本的にはglorified notebookなのだが、セミナーの最中に「あれ、この遺伝子、どっかで聞いたことがあるけど、何だったっけ?」とか、「これをノックアウトしたらどうなるんだろう?」とかいう、あまり本筋とは関係がない疑問をその場でPubMedにアクセスして解決できるメリットも大きい。ちなみに自分の場合はほとんど大学の中でしか使わないので、安いWi-Fiオンリーバージョンである。どうしても外でインターネット使いたい場合は、iPhoneから3G使えばいいし。

わたしにとっては、「テクノロジー」を実感したのはiPhoneを買ったときだった。買う前に他の人のiPhoneを触らせてもらったことがあったから、どんなことができるのかは知っていたけれど、やっぱり実際に使ってみるとその「簡単さ」は感動的。それまでの携帯は、電話番号を登録するにも、一度は取り扱い説明書を見てみないと使い方が分からなかったが、(わたしの持ってた携帯に至っては、9個までしか電話番号を登録できないというすごい代物だったし)iPhoneはそんなことは全くなし。(Kindleも最初は取り扱い説明書を見ないと、どうやって操作していいのか分からない類のマシンである。)だからiPadを手にしたとき、操作の簡単さには目新しさはなかったのだが、「iPhoneの画面が大きくなったら、あんなこともこんなことも出来るだろうな」というのを実際に体現してみせた、という感じかな。

(しかし、冬休みが明けて一ヶ月ぶりくらいにお目にかかったわたしのオルガンの先生までiPhoneを持ってられたのにはびっくり。まあ、学生相手の仕事してると、最近はメールとテキストは必須かもしれないけど。)

iPad2!

最近、学生とディスカッションしたり、ペーパーを読んだりするのに、紙よりもやっぱりコンピューターがいいなあと思うことしきり。なにしろ紙だと、後で検索できないのが何よりも辛い。Kindleを買ったときに、これでペーパー(PDF版)を読めないか試してみたけれど、白黒であることと、画面がスムースにスクロールしないことがネックになって、Kindleは諦めた。そうなると、

やっぱりiPad?

ということで、別に音楽聞くわけでなし、フェイスタイムがしたいわけでなし、写真を撮るわけでもないのだけど、数週間ほどチラチラとApple StoreでiPadを眺めていた。最初は旧型iPadのrefurbishしたのを買うつもりだったのだが、偶然AMEXのアカウントにログインしたら、「ポイントでiPad2が買えます。」という殺し文句に遭遇。わざわざ年会費まで払って維持してるアカウントなのだから利用しない手はない、ということで、無駄に貯めたAMEXのポイントでiPad2の一番ちっちゃいやつを注文してしまった。(この前AMEXのポイント使ったのは、今通勤用に乗ってる自転車買ったとき。物を買う方が、飛行機のチケットに使うよりずっと得だと思う。)

で、今、これ、人気商品なのね。何しろ「お届けは2〜3週間後」。毎日、まだかな〜、まだかな〜と思っていたら、先週になって「あなたの注文された品物が発送されました。」のメールが。かくして毎日、UPSのトラッキングとにらめっこする日々が始まった。

工場を出発して、そこからEPZ (export processing zone) って所に行ったのだが、本当に飛行機に乗ったのはそれから3、4日後のこと。その間、何してたんだ?それもすんなり直行でアメリカに来るのかと思ったら、香港経由でアンカレッジへ。アンカレッジって昔は日本からヨーロッパと行き来する飛行機の中継地でにぎわってたけど、今は直行便だから、アンカレッジに行ったことのある日本人は減ってるんだろうな。(今でもあるのか、白壁整形外科の広告?)しかし東アジアからの飛行機貨物のアメリカへの入り口としては今でも重要な地点なのだろう。アラスカの次はケンタッキーに飛んだことになっているが、何しろ何度も到着/出発を繰り返しているようなので、その間、さらに中継地点を経由しているのかどうかはよくわからない。まあ、何はともあれ、今朝無事に家に配達されたのはまことに目出度い。

で、家に帰ってきて早速セットアップに取りかかったのだが、最初オンにしたとき何故かWiFiがつながらず、ちょっと焦った。3GのないWiFiオンリーモデルを注文したから、WiFiがつながらなければただのアルミとガラスの固まり。不良品なのか、WiFi routerとの相性が悪いのか、とrouterの調子を見に行ったら、なぜかrouterの側に来るとWiFiを感知できるようになった。いったんWiFiを感知できるようになったら、その後は家中どこでも快調。最初の不調は何だったのか?(時差ボケ?)

最初からこれは論文とノート取りのマシンのつもりなので、オフィスの母艦MacBook Proとのやり取り用にDropboxを入れ、App StoreでiAnnotateとNotes Plusを購入。わたしにとっては有料アプリを買うのは一大事なので、これで自分の仕事にかける意気込みのほどが知れるだろう(何のこっちゃ。)

しかし考えてみたら、この一年ほどの間に上はオフィスのコンピューターから下は電話まで全部、アップルの回し者になってしまったような気もしないでもない。