ツアー5日目、日曜日。この日は希望者はビーチで水遊び、残りはスペイン国境近くの Perpignan の Cathédrale Saint-Jean-Baptiste で11時のミサに出て、午後、そこのオルガンを弾くというオプションツアーの日。前日までの爽やかな青空はどこに行ったのやら、グズグズと曇った肌寒いお天気。あまりビーチ日和とは言えないので、 Perpignan に行くことにした。(同居人は教会はもう飽きた、ということでビーチを選ぶ。)
地中海に面した Port la Nouvelle は Perpignan への道すがらになるので、ビーチ組はここで下車。残りはバスで Perpignan へ。スペイン国境のすぐ近くなので、周囲の車もスペインナンバーが増えてくる。
さて、11時のミサに間に合うように早起きしてはるばるやってきたのだが、なんと!
「神父さんが予定を間違えて帰ってしまったので、11時のミサはありません。ミサに与りたい方は他の教会に行ってください。聖餐だけ受けたい方には、助祭がすでに聖別された聖餅をお配りします。」って。
う〜ん、前日の Aix といい、この Perpignan といい、なんか神経質なアメリカの教会とはだいぶ違う感じ。とりあえず聖餐式に参加。神父さんがいないので eucharistic prayer のない簡略版である。
カトリックの司式は世界中どこでも基本は共通なのだけど、音楽の使い方などがアメリカとフランスで違うのが興味深い。アメリカのミサでは聖歌はどこでもオルガン主導。オルガンがイントロを弾き、メロディーもオルガンに合わせて会衆が歌う、といった感じ。フランスは、今回の旅行中に2回体験した限りでは、カンターもしくは助祭が主導、オルガンは歌に静かに従属する感じ。ただし、歌詞の節と節の間に、ちょっとしたオルガンソロ(即興?)が入る。フレンチ・クラシックのオルガン宗教曲は歌唱とオルガンが交互に入る構造になっているのが基本なのだけど、これはその伝統を継いでいるのだろうか。
で、無事に典礼が終わったところで、ロフトから出てきたオルガニストを捕まえて話し合った結果、午後二時に「誰か」が来てオルガンを弾けるようにするので、それまでに昼食でも食べてきてくださいということになった。
大通り近くのカフェで昼食。なんとかお天気も持ち直し。
Perpignan の Cathédrale Saint-Jean-Baptiste にはオルガンロフトに一台、祭壇の後ろにもう一台、と二台の Cavaillé-Coll がある。ここの教会の内装はこれまで見たどこの教会とも違って、すごくスペイン風。
この日はフランスの「母の日」ということで、教会の前の花屋に last minute で花を買う人の行列が出来ていた。
外観
内部
メインオルガン
オルガンロフトの下部にはこんな飾りが。
約束の二時になってやってきたオルガニストは、日本語を話す女性だった。ここで弾いたのは Dupré の Magnificat の第五曲。
F.Friesさんはカトリック信者なのですか。音楽としてのオルガンだけということではないんですね。
私など興味本位でミサに行ってみたいなんていうと、そんなことはするもんじゃないといつもつれあいにたしなめられます(^^;;
ペルピニャンからルルドへは行かれましたか。ここは観光化されているそうなので、信者でなくても大丈夫らしいですが、信者でないと奇跡は望めないんでしょうね。
ところで、アメリカのカードは問題なく使えましたか。
はい、カトリックです。でも、教会音楽はクラシック音楽の原点の1つですし、興味本位でもミサをご覧になるのはいいと思いますよ。オペラの典礼的なシーン(魔笛のザラストロと神官たちのシーンとか、パルシファルとか)も、教会の儀式の影響が非常に強いことがよくわかります。演出家の意識の底にあるんでしょうね。
ルルドは行く機会がありませんでした。何かの映画で見ましたが、すごく観光化してますね。。。南仏はルルドやサンチアゴ・デ・コンポステーラの巡礼の経路ですね。
今回はツアーでほとんど前払いだったので、カードを使う機会はあまりありませんでした。二年前にイタリアに行ったときは、ガソリンスタンドのカード払い機は使えませんでしたが、窓口では問題ありませんでした。
オルガンも一台ごとに、感じが違うのですね。響きとかも、違うんでしょうね。ミサと言えば、始めのうちは、何が何だかわからないうちに、終わってしまった感じでした。
まあ、ロールスロイスとマセラッティーが違うようなもんです。ミサのときはオルガンが入るタイミングを間違うといけないので、それなりに緊張します。
教会に通う信者(つれあいは出生時に洗礼受けてても通わない)ということでしたら、地元教会で実際にオルガニストとして活躍しておられるんですね。
>オペラの典礼的なシーン
本来はそうなんですよね。古めの演出はそうなってるんですが、近年はハチャメチャな演出が多いんです。「魔笛」ではウーマンリブとショービニストに対決にした現代物とか(^0^)
魔笛の演出で、夜の女王とザラストロは離婚した夫婦で、パミーナの養育権を巡って対立している、なんてのもありましたね。実は教会の典礼にもいろいろ演出があり、時代や地域によって異なります。