ツアー三日目は爽やかな青空。ヨーロッパの5月というのは、本当にIm wunderschönen Monat Mai (ハイネの詩によるシューマン歌曲「詩人の恋」第一曲)だと思う。
この日の午前中はグルノーブルの近くの「フランスで最も美しい村」Saint-Antoine-l’Abbaye へ。十一世紀にエジプトの聖アントニウスの聖遺物を祀る修道院が建てられ、その門前町として栄えたらしい。
十七世紀に建造されたここのオルガンは、フランス革命の際にも破壊されることなく、幾度もの修復を重ねて現在に至る。
外観
修道院敷地内の木立と、我が物顔に闊歩するワンコ
敷地内を別の方向から。いかにも「フランスの田舎」のイメージ。
教会の中
オルガン
ここはオルガンロフトに上がる階段と、ロフトの間が狭い木の橋のようなものでつながっており、軽度高所恐怖症の身としては、この橋が落ちそうで、なんか気色悪かった。
オルガンロフトから教会を見下ろす
フレンチ・クラシック(フランスのバロックはなぜか「クラシック」と呼ぶ)として
Clérambault と Couperin を準備して行ったのだけど、弾こうと思ってた曲を先に他の人が弾いてしまったので、これなら誰も弾かない Titelouze の Magnificat の第一曲と第二曲を。(去年、Magnificatをテーマにリサイタルをやったので、現在弾ける曲は Magnificat ばかりなのである。)
お昼は敷地内のレストランで。バスの出発時刻が12時半なのに、レストランは12時にならないとランチを出せない(レストラン自体は12時前から営業しており、飲み物は出す)とかで、大急ぎで掻き込んでバスに向かう。この辺、フランス人は絶対に規則を曲げないし、アメリカ人はランチの時間もちゃんと設定できない未開人だと思われてるに違いない。
私もくまっちさんと同じく、オルガン演奏を聴きにいくのだと思ってました。大聖堂などにあるパイプオルガンを実際に弾いてみるツアーなんですか。誰でも勝手に弾いていいわけじゃないでしょうから、手配が必要でしょうね。古くからのはやっぱりアメリカにはないんでしょうか。聖堂で聴くと響きが違いますよね。フランス・バロックはオペラのラモーくらいしか知らないので、どんな曲を弾かれたのか見当もつきません(^^; 8月下旬にサブレバロック音楽祭に行ってみる予定です。
>グルノーブルの近くの「フランスで最も美しい村」
グルノーブル近くにもそういう村があるんですね。ウチはドルドーニュ沿いの「フランスで最も美しい村」に行きます。
はい、オルガンは勝手に弾くわけにはいかないので、ツアーディレクター(大学のオルガン科の教授)が知り合いを通じて各教会のオルガニストに連絡を取り、予約を入れています。御礼に「心づけ」として寄付をしているようです。話によると、今回のツアーではヴェルサイユのチャペルのオルガンも狙っていたそうですが、これは弾かせてもらおうと思ったらホール毎予約しないといけないと言われ、ヴェルサイユのホールを予約すると予算オーバーになるので断念したそうです。
フランス・バロックの曲って、名前は知らなくても結構聞いたことのあると思います。(わたしも自分で弾くまで名前を知らなかった曲ばかり。)華々しく演奏効果が高いものが多いので、式典などでよく使われます。
「フランスで最も美しい村」っていくつもあるのですね。お天気にも恵まれ、本当に可愛らしい村でした。時間がゆっくり取れなかったのが残念。