Flower Festival

今週末は教会恒例のFlower Festival。「真冬に教会を花で飾り立てて、春の気分を味わいましょう。」ということらしいが、今年は暖冬なので有難みがちょっと薄い?で、小さい方のチャペル(Our Lady of Nebraska Chapel)でオルガンを弾いた。

Our Lady of Nebraskaということで、この写真では見えないかもしれないけれど、マリア様は手に農作物を。このチャペルの飾り付けのテーマは「結婚式」ということで、司式の司祭(左側)に新郎(右側)、花嫁は下の写真の如し。

弾いた曲目は以下の通り

J S Bach, Duetto No. 3, BWV 804
Francois Couperin, Mass for the Convents (1. Plein Jeu, 1st Kyrie; 5. Dialogue, 5th Kyrie, 18. Elevation)
Felix Mendelssohn-Bartholdy, Sonata No. 6

同居人はこれらの曲はもう飽きたから、何か別のもんを弾いてくれと。リクエストは贋作との噂もあるBWV 565のToccata and Fugue。

緑藻細胞にイオン流入

ツイッターを眺めてたら、あんまりにトンデモな記事のリンクが貼ってあったので仰天。→

それもスポーツ誌やゴシップ誌ならともかく、いちおう日経なんだからショックも大きい。(あまりに恥ずかしい記事なので早々にサイトから撤去されると思いきや、12時間以上たってもまだ平然とアップされたまま。万が一、撤去されたときのために、スクリーンショットを撮ってしまった。)

ちなみにこちらが東大が発表したプレスリリース。→

ついで、これもツイッターで教えてもらったのだが、マイナビというところにはもうちょっとマシな記事が出ている。

一読するまでもなく、日経サイトの記事を書いた人が何も理解してないことは明らかなのだが、どうしてこんなことになるのかちょっと考えてみた。

もちろん日経程度の規模の新聞社に、ちゃんとした科学記事の書ける記者がいないのは論外だと思うのだが、東大のプレスリリースも、これは高校程度の生物の知識しかない人は言うまでもなく、大学(学部生)で生物を専攻しても、この分野が専門でなければ何を言ってるのかわからないのではないだろうか?レベルとしては、膜タンパク構造あるいは神経生理専門の学会のポスターの内容だと思う。マイナビの方も、東大のプレスリリースを少し噛み砕いた表現にしているだけで、非専門家にわかりやすいとは思えない。

わたしがこれを一般向けに書きなおすとすれば、以下のような展開にする。

  1. ロドプシンって知ってますか?ロドプシンがないと、目が見えません。
  2. 驚いたことに、ロドプシンと同じような仕組みは、「目」のある動物だけじゃなく、緑藻のような生物にもあるのです。
  3. 緑藻ではロドプシンはこんな役割を果たします。最近では、その仕組みを利用して、動物実験で神経細胞の働きを調べるのに使われるようになりました。
  4. 東大のグループが、この緑藻由来のロドプシンの3次元構造を解明しました。
  5. 3次元構造が解明されたおかげで、これまでできなかった「あんなこと」や「こんなこと」も出来るようになると期待されています。現在は基礎研究のツールですが、こういった実験を重ねていくと、将来的には神経疾患の原因究明や治療に役立つとのことです。

一般向けの記事には、結晶構造解析にどこのX線マシンを使ったかなんて関係ないし、タンパクが二量体かどうかなんかも関係ない。グルタミン酸がイオンチャンネルを形成すると書かれても、「グルタミン酸って味の素だっけ?」くらいのもの。

国民のサイエンスリテラシーがどうの、と言うけれど、アカデミア側も一般社会側も、相手任せにして文句ばかり言ってもギャップは埋まらない。お互いに歩み寄る努力をしないと。

iPad2体験記

ほんの2年前までは、携帯は買って10年近くになろうかという時代物、「そんな古い機種、充電できなくなるでしょ?」と言われても、そもそも電話自体ほとんど使わないので関係ない、という状態だったのだが、この2年ほどの間に電話はiPhoneに買い替え、読書はKindle、家のコンピュータはMacBook Air、なぜかiPad2も持ってるという、アメリカ経済に貢献する消費者の鑑(?)に変身してしまった。

日本ではiPadが出たときに「電子書籍リーダー」として紹介されたようだけど、わたし個人の感想としてはiPadは重すぎて手軽に本を読むには向いていない。自分の用途として何に一番近いかといえば、この手のビジネス用ポートフォリオケース

ノートパッドにペン、資料などをまとめて持ち運べて、物によっては電卓を収納するコンパートメントもあったり、というオフィス文房具である。

最近は論文の類はすっかり印刷しなくなった。こちらがコンピューターの画面上で読むのに慣れたのと、学術系出版社のサイトデザインが向上して画面上で読みやすくなったこととが相まって、論文は印刷しないだけでなく、基本的にはローカルのハードドライブに保存することも止めてしまった。(論文やグラントに引用文献一覧を作成する必要上、論文のデータはデータベースに保存している。)しかし、その場で読めない論文、ちょっと詳しく読みたい論文などは、DropboxにPDFをダウンロードして、iPadから開いた時間(ミーティングの待ち時間とか)に読むようにしている。昔なら印刷して、メモ帳といっしょに持ち歩いていたのと同じ感覚である。iPadの良い点は、画面のスクロール、ズームイン・ズームアウトがスムーズなこと。Kindleを買った当初、KindleでPDFが読めると聞いて試したことがあるが、iPadに比べると、全くお話にならない。新しいKindle Fireは試したことがないが、タッチスクリーンの操作性は”You get what you pay”だと聞く。

それから、もう一つ愛用しているのがメモ取り機能。周囲のiPad userを見ると、最初から付随のNotesというアプリケーションを使って、オンスクリーンキーボードでポチポチやってる人が多いが、わたしはとにかく縦長ディスプレイに拘りがあるので、縦長にするとキーボードが狭くて操作性が悪い。しばらくはブルートゥースのキーボードを持ち歩いてみたが、それだとMacBook Airを持ち歩くのとあまり変わらない。(MBAは縦長では使えないけど。)しばらく試行錯誤した末、現在一番満足しているのが、Notes Plusというアプリケーションである。最新版はキーボード入力のみならず、手書き入力を変換する機能もついており、なかなか精度よく変換してくれる。(手書きの問題点は、全体をグラフィックとして保存するので、iPadのような非力なマシンだと、ページめくりが遅いのである。テキスト(アルファベット)にするとファイルサイズが縮小し、ページめくりのモタつき感がない。)もう一つ、無料のNotesにはできない機能としては、フリーハンドで描いた絵を入れられること。セミナーのメモを取るには、非常に重要である。

ということで、自分にとってiPadは基本的にはglorified notebookなのだが、セミナーの最中に「あれ、この遺伝子、どっかで聞いたことがあるけど、何だったっけ?」とか、「これをノックアウトしたらどうなるんだろう?」とかいう、あまり本筋とは関係がない疑問をその場でPubMedにアクセスして解決できるメリットも大きい。ちなみに自分の場合はほとんど大学の中でしか使わないので、安いWi-Fiオンリーバージョンである。どうしても外でインターネット使いたい場合は、iPhoneから3G使えばいいし。

わたしにとっては、「テクノロジー」を実感したのはiPhoneを買ったときだった。買う前に他の人のiPhoneを触らせてもらったことがあったから、どんなことができるのかは知っていたけれど、やっぱり実際に使ってみるとその「簡単さ」は感動的。それまでの携帯は、電話番号を登録するにも、一度は取り扱い説明書を見てみないと使い方が分からなかったが、(わたしの持ってた携帯に至っては、9個までしか電話番号を登録できないというすごい代物だったし)iPhoneはそんなことは全くなし。(Kindleも最初は取り扱い説明書を見ないと、どうやって操作していいのか分からない類のマシンである。)だからiPadを手にしたとき、操作の簡単さには目新しさはなかったのだが、「iPhoneの画面が大きくなったら、あんなこともこんなことも出来るだろうな」というのを実際に体現してみせた、という感じかな。

(しかし、冬休みが明けて一ヶ月ぶりくらいにお目にかかったわたしのオルガンの先生までiPhoneを持ってられたのにはびっくり。まあ、学生相手の仕事してると、最近はメールとテキストは必須かもしれないけど。)

Kindleで本をシェアする

同居人は読書が好きである。しかし、特にどの本が読みたい、というのではなく、たまたま見かけた本で安くて(←ここが非常に重要ポイント!)面白そうなのがあれば読む、という読み方である。したがって、これまではダラーストアやGoodwillで適当に本を買い込んでくるのが常だった。(ダラーストアとか行ったことない方のために説明すると、ちょっと前の新刊書の売れ残りが1冊1ドルで平積みになっている。)

しかしわたしの目から見て、この手の本の一番の問題点は場所ふさぎになること。読書の定位置であるカウチの周辺は、読みかけのハードカバー本(ダラーストアの本はなぜがハードカバーばかり)が山のように散乱している。わたしは以前から電子ブックへの移行を強く薦めていたのだが、いつまでたっても聞き入れられないので、今回、実力行使ということでクリスマスに同居人に一番安いKindleをプレゼントした。わたし自身はKindleもiPadも持っているが、本気で読書するにはKindleが一番という結論に基づいての選択であって、決してKindle ($79) の方がiPad ($499) より格段に安いからだけではない。(強調するところがアヤシイ?)

我が家のキーワード(?)は「ケチ」「無駄遣いをしない」なので、「Kindleを使えば、Project Gutenbergにあるような古典が無料で読めるよ。」というのが釣り文句であったことを白状しておこう。

さて、クリスマスプレゼントの包みを開けて、しぶしぶKindleを手にした同居人、「こんなもんで本読むのなんか嫌や。」とさんざん抵抗していたのだが、「この本とこの本とこの本をダウンロードしてセットアップしてくれるんやったら、試してみてもええわ。」というところまで妥協させるのに成功した。

以前から少し気になっていたことなのだが、Kindleのひとつの問題点は、本の貸し借りが容易でないことである。最近は一回だけ、2週間貸せるようになったようだが、紙の本の時代のように、「この本、面白かったよ。あなたも読んだら?返してもらわなくていいから。」という貸し方ができない。同居人のKindleに本をダウンロードするにあたって、わたしのアカウントを使うのがいいのか、向こうのアカウントを使うのがいいのか、それとも新しいKindle用にダミーアカウントを作るのがいいのか、いろいろ考えながら検索していたら、同じようなことを考える人はKindleが登場した初期から少なからずいたらしく、たくさんのヒットが見つかった。

Amazonの公式見解は「購入したKindle本は、そのアカウントに属します。一回購入したKindle本は、同じアカウントに属する6台までのマシン(Kindle専用機、Kindle Appを搭載したPCやiPhone、タブレット)に同時にダウンロードできます。同じアカウントに属するマシンからは、そのアカウントが他にどんな本を購入したのか、アーカイブを見ることができます。」ということで、それ以上のことに関しては口をつぐんでいる。しかしここで、親が子供のためにKindle本を購入して、読ませたいと思ったとしよう。子供用に専用のKindleを買ってやるのはいい。しかしKindleはアカウントと直結しているので、そのままの状態で子供に与えると、買ってやった本以外に、(親のクレジットカードを使って)他のものも勝手に買ってしまうかもしれない。ネットワーク接続を切った状態で与えても、そんなものを操作するのは大人よりも子供の方が得意に違いない。Parental controlの使い方を子供に教えてもらうという話も聞くし。子供用に別にアカウントを作ってやっても、そのアカウントにはクレジットカードを直結させないといけないので、子供の勝手な買い物を防ぐことはできない。アーカイブ機能も良し悪しで、親が買った本の中には子供に見られたくないものもあるだろう。

このようなジレンマを解決するには、ちょっと手間だが以下のような使い方ができる。(Amazonはこのような使い方は推奨していないが、amazon.com内のフォーラムに記載されたまま、削除される様子もないので容認しているのだと思う。親子でのこのようなやり取りを禁止すると、AmazonとしてもPR上、好ましくないだろう。)

  1. 子供のKindleを親のアカウントに登録する。
  2. 子供のKindleに必要な本をダウンロードする。
  3. ダウンロードが完了したことを確認して、子供のKindleを親のアカウントから登録解除する。この場合、子供は自分のKindleからその本を削除しない限り、その本を読み続けることができる。
  4. 子供に新しい本を与える必要があるたびに、これを繰り返す。

こうすると、子供はKindleから無断で買い物できないし、親の購買記録を覗くこともできない。これは家族内でのシェアの方法だが、同じ方法で友人のKindleを自分のアカウントに「一瞬」だけ登録して、自分の買った本をシェアすることも可能なはず。ただし、一台のKindleが次から次へと違うアカウントに登録・解除を繰り返していると、そのうちAmazonに目を付けられるのではないかという議論もあった。

これを機に、家の中から紙の本が一掃とまではいかなくても、これ以上増えなくなったらうれしいのだけど。

クレジットスコア

クレジットスコアは高いにこしたことはないのだが、ある限界を越えると、それ以上がんばっても実際のメリットはないよ、というお話

住宅ローンや自動車ローンを組むとき、スコアの良い人は、より低い利率のローンが組める。スコアが悪いと料金先払いタイプの携帯電話しか契約できない。最近では雇用の際にクレジットヒストリーをチェックする会社が増えてきているとか。

しかし現実問題として、スコアが780でも810でもローンの利率には影響しないらしい。一般にカットオフは760あたりなので(金融危機以前はもう少し低かったらしい)、それを越えると、クレジットカードの枚数やら学生ローンやらでスコアを上げる工夫をしてみても、「わたしのクレジットスコアは800を越えてるのよ」という話題性(これを英語でbragging rightsという)以外には得るものはないということである。それよりも、しょうもない支払い遅れなどでスコアが下がらないように注意をする方が大切とか。750以上になるとスコアを上げるのは大変でも、下げるのは簡単なので。

ロン・ポールの資産

おことわり:これはロン・ポールの資産配分を推奨するものでも非難するものでもありません。あくまで「こういう人もいるよ」という話。

共和党大統領予備選がいよいよ加熱してきたけど、まあ、わたしは米市民ではないし、共和党を支持するわけでもないので傍から興味本位で眺めるだけ。本命はロムニーということで意見の一致を見ているようだが、しかしそれだけでは面白みがないためか、次から次へと数週間ごとにマスコミの推奨する「強力対抗馬」が登場しては消える。正直なところ、そのパターンの分かりやすさは、「タイガーマスク」とか「仮面ライダー」とかいった子供向け番組で取っ替え引っ替え「悪者」が登場しては破れていった単純しごくな番組構成を彷彿とさせる。

ところで、根強い支持層があるにもかかわらず、いつもマスコミからは距離を置かれているのがロン・ポール。彼の政治理念はある意味で共和党の原点である「小さな政府」。彼の経済・外交政策はアメリカ孤立主義、国外援助の廃止、自由貿易、連邦準備銀行の廃止、金本位制の復活などが主なポイントだが、「小さな政府」の延長として連邦所得税の廃止、連邦レベルでの薬物(マリフアナなど)取締の廃止、市民が武装する権利の保証などを主張しているので、支持者の中には必然的に極右のフリンジも含まれる。

ロン・ポールは現役の下院議員でもあるので、法律によって、その資産内容が公開されている。この記事によると、たいていの議員の資産の内訳は、平均的なアメリカ人と似たようなもので、キャッシュが1割、ボンドが1割、不動産が2割、残りが株式といったところらしい。ところがロン・ポールの場合は全く違う。資産総額は$2.44 million から $5.46 million の間だそうだが、その内訳は、キャッシュが1割強、不動産がほぼ2割というところは普通だが、残りのほとんどは金・銀採掘関連会社の株オンリーなのだそうだ。ボンドはゼロ、アップルとかエクソンとかいった、いわゆる「普通の」株も、ゼロ、ほんのわずか株式ファンドを保有しているが、それは普通のファンドではなくショートのファンド、株価指数が下がると値打ちが上がる類のものばかりらしい。

金本位制復活を叫び、今の借金まみれの状態ではアメリカ経済は壊滅すると予言しているロン・ポールにとって、ボンドはゼロ、株価指数はショート、株式は金・銀採掘関連会社のみというのは当然の結論なのかもしれない。