起業に向いてるアメリカ?

「日本人もこれからはもっと起業家精神を発揮しなければならない」とか、「日本で起業が盛んでないのは、日本の法律や税制が起業家フレンドリーではないせいだ」なんてよく聞くけど、先週号のエコノミストの記事によると、「起業家フレンドリー」と「起業が盛ん」は同義語ではないらしい。(-> Beware of yogurt

この記事によると、もともとイラン出身のダシュタキさん、おとうさん秘伝の手作りヨーグルトをファーマーズマーケットで売ることを思いつき、必要な役所の手続きを開始した。ところがヨーグルトは乳製品なので、普通の食品販売の手続きに加えて、乳製品販売のための特別な手続きが必要であることが判明。しかしその規則によると、乳製品を製造販売する場合は、A級乳製品加工工場 (というのが、一体どういうものなのかはよく分からないが)を設置し、記録装置付きの加熱殺菌装置をはじめ、さまざまな機械を導入しなくてはならないという。ダシュタキさんが、自分のヨーグルトは、生乳ではなく、既に加熱殺菌された牛乳でつくるから、この規制の対象外にしてほしいと申し出ると、そのような例外は認められないとのこと。仕方なく規則に従うべく準備を進めていると、なんと次に、「乳製品の加熱殺菌処理は一回しか行ってはならない」という規則にぶち当たった。

はあ???

つまり、ダシュタキさんがヨーグルトを製造販売したければ、原料となる牛乳を自分のところで加熱殺菌しなければならない、と言っておきながら、その規則に従って加熱殺菌すれば「乳製品は二回加熱殺菌してはならない」という規則に抵触するというわけらしい。

これにはさすがのダシュタキさんも呆れ返り、秘伝の手作りグルメヨーグルト販売で起業することは諦めたという。

この起業家の熱意を打ち砕き、引き換えに州民を不法ヨーグルトによる食中毒の脅威から守ったスバラシイ州は —

実はカリフォルニアである。

カリフォルニアというと、「シリコンバレー!グーグル!アップル!」「ゴールドラッシュ!」「ハリウッド!」といった連想から、起業に向いた土地というイメージがあるが、税金は高いし、規則は複雑怪奇だし、全米50州の中で最も起業に向いてない土地という定評があるそうだ。だから、カリフォルニアで起業が盛んなのは、「起業に向いているから」ではなく、「起業に向いてないにもかかわらず」と考えた方がいいのかもしれない。

4 thoughts on “起業に向いてるアメリカ?

  • May 28, 2011 at 8:00 pm
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    以前に自宅で何かできないかと考えたことがあったのですが、ゾーニングだのなんだので、人が訪れず、トラックも止まらずにできることしかできないとわかり、諦めました。 場所を借りようとすれば、高くて採算とれないし。
    輸出入関係も考えたことがあるのですが、なんだかテストだの表示だのの規則がやけにがたくさんある上に、細かい関税、そして最近は運送料も高いですから、日本からのものじゃ、特別な価値のあるようなものでないと商売にならないですね。
    アメリカの場合、これに加えて何で訴えられるかわからないですものね~。賠償保険も高いし、人を雇えばまた高いし。。。
    こういったことを乗り越えてアメリカで自営されている方たちを尊敬します。

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    • May 28, 2011 at 10:17 pm
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      そういう理由で、現物をやりとりしない事業(ウェブサイト制作とか、翻訳とか)は参入の敷居が低いのでしょうね。

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  • May 29, 2011 at 10:34 pm
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    CAは、とくに人を雇うと大変。Payroll taxは高いわ、Workers Comps(の詐欺が多く)は高いわ、かつ従業員の保護が厚く、従業員5人以上で義務付けられる法律もあり、何で訴えられたり、罰せられるかわからない。とくにスモールビジネスは、雇用者のhands tiedという感じで。失業保険も、本来、自己都合で辞めた社員には支給されれないはずなのに、元社員が申請すると降り、さらに派遣社員すら失業保険をせしめていた、と派遣会社の人が愚痴っていました!元社員が失業保険を受給すればするほど、雇用主の掛金が上がるんですよね…

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    • May 30, 2011 at 11:25 am
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      >CAは、とくに人を雇うと大変

      だそうですね。一時期、CAの団体(大学、研究所ではなくて)で働いてたことがありますが、そこの本部はEast CoastでCAは出先機関だったので、最初の頃、とくに雇用関係の法律の違いで大変だったみたいです。本部のある州では、一週間のトータルが40時間を越えたらオーバータイムなのに、CAでは一週間のトータルに関わらず、一日の就業時間が8時間を越えたらその日はオーバータイムだとか。開設当初の予定では、Human Resourcesは本部で全部管理して、CAオフィスはオフィスアソシエートだけのはずだったのが、法律の違いのために罰金やらなんやらで酷い目にあったため、CAにはlabor law専門の弁護士の資格を持ったHR managerを置いてました。(まあ、そんなことを下調べもせずにCAオフィスを開いた方も問題ですが。)

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