reEnergize

市役所のPlanning Department(都市計画課)から郵便が来たので、すわ、また建物の条例違反か、歩道の工事かと恐る恐る開いてみたら、省エネコミュニティ建設のためのプログラムのご案内。

こんな感じ。

http://reenergizeprogram.org/

古い家が多く、かつ所得があまり高くない地域が対象に選ばれたらしく、うちから1マイルほどのバフェットさんの家のある地域は今回の対象外(笑)。

このプログラムに参加すると、自分の家のエネルギー効率を改善するための補助金が出るらしい。対象となるのは断熱材注入、冷暖房機器の保全、アップグレードなど。うちの冷蔵庫(家に付いてきた)は古いし、2台あるエアコン外機の1台も相当古い。窓も古いからできれば何とかしたいところ。

自分の持ち出し分は上限3500ドルで、それを越える部分はこのプログラムが払ってくれるとのこと。(運営資金は連邦政府のグラント。おそらくstimulus packageの一環だったものが、ようやく回って来たのではないかと思われる。)うちの家にどんな評価が出るか不明だが、とりあえず登録してみた。

ミケランジェロ???

今日は違うことを書くつもりだったけれど、このNew York Timesの記事があまりに気になったので、変更。

ミケランジェロの作品というのは彫刻が主で、絵画、それも壁画とかじゃなくて、画架に乗るもので真作と意見の一致しているのは一点しかないらしい。で、ニューヨーク州北西部バッファロー郊外の、とある個人の家の長椅子の後ろで埃をかぶっていた絵が真作かどうか、という記事。なんでそんなものがニューヨーク州にあるのかというと、19世紀の後半、ドイツの貴族がこの絵をアメリカで売ろうとして売れず、転々とするうちにこの個人の家に落ち着いたということらしい。

題材はピエタ。ミケランジェロがヴィットリア・コロンナに贈ったピエタの「絵」に対する感謝の手紙が残っているそうだが、これがそのピエタだというのが真作派の主張。贋作派は、コロンナに贈られたピエタは「絵」 (painting) ではなくて「素描」 (drawing) の間違いだと言い、ボストンにあるのがそれだという。

問題のピエタ。(このサイトの方が写真が大きくて見やすいかも。)

ボストンのピエタ。(もとはこのサイト。)

参考までに、有名な彫刻の方のピエタ。(これも元は上と同じサイト。)

わたしは美術に関しては素人以下だが、今朝、New York TimesのArts欄のトップページでヘッドラインを読む前にこの絵を見た第一印象は、「げっ、ugly!」。ヘッドラインを読んで、これがミケランジェロかどうかが問題になっていると知ったとき、「これやったら、たとえミケランジェロでも、いらんわ。」というのが正直な感想だった。

まず何よりも、バランスが悪くて、ぎこちない。バチカンの壁画なんか、ミケランジェロは膨大な数の人間を大量生産で描いているわけだが、どの人物をとっても座りの悪さを感じさせない。それに、マドンナの顔はブリューゲルかなんかの農家のおばさんみたいだし、着衣のドレープも稚拙、おまけにキリストの腹筋の付き方も変。ミケランジェロは女性や子供でも結構筋肉ムキムキに描く傾向があったようだが、「筋肉ムキムキに描く」ことと「解剖学上ありえないような筋肉の付け方をする」ことは別。素描の方はそんな不自然な筋肉の付き方してないし、マドンナの顔も、バチカンのシスティナ礼拝堂の壁画に登場する人物にどことなくイメージが近い。(ここにあるデルフィのシビルなんかも、ドレープがもっと自然。)

この記事に付いたコメントの中には、ミケランジェロがコロンナにピエタを贈ったのは晩年のことで、その頃には視力も衰えて画筆が鈍っていたという擁護意見もあったが、芸術家の持ち味というのは根底の部分では変わらないはず。晩年になって老醜を晒したダヴィッドなんかでも、登場人物の表情などは最盛期のものとすごく似ている。だいたい、こんな出来だったら、ちゃんとした芸術家なら恥を晒すより、破棄しちゃうんじゃない?

ということで、わたしのこの作品の由来に関するuneducated guessは、ボストンの素描はコロンナに贈ったピエタの下描き、このニューヨークのピエタはコロンナに贈ったものを誰かが模写したもの、模写された時期はすごく古いかもしれない、コロンナに贈られたオリジナルは紛失、というところですが、いかがでしょう。

起業に向いてるアメリカ?

「日本人もこれからはもっと起業家精神を発揮しなければならない」とか、「日本で起業が盛んでないのは、日本の法律や税制が起業家フレンドリーではないせいだ」なんてよく聞くけど、先週号のエコノミストの記事によると、「起業家フレンドリー」と「起業が盛ん」は同義語ではないらしい。(-> Beware of yogurt

この記事によると、もともとイラン出身のダシュタキさん、おとうさん秘伝の手作りヨーグルトをファーマーズマーケットで売ることを思いつき、必要な役所の手続きを開始した。ところがヨーグルトは乳製品なので、普通の食品販売の手続きに加えて、乳製品販売のための特別な手続きが必要であることが判明。しかしその規則によると、乳製品を製造販売する場合は、A級乳製品加工工場 (というのが、一体どういうものなのかはよく分からないが)を設置し、記録装置付きの加熱殺菌装置をはじめ、さまざまな機械を導入しなくてはならないという。ダシュタキさんが、自分のヨーグルトは、生乳ではなく、既に加熱殺菌された牛乳でつくるから、この規制の対象外にしてほしいと申し出ると、そのような例外は認められないとのこと。仕方なく規則に従うべく準備を進めていると、なんと次に、「乳製品の加熱殺菌処理は一回しか行ってはならない」という規則にぶち当たった。

はあ???

つまり、ダシュタキさんがヨーグルトを製造販売したければ、原料となる牛乳を自分のところで加熱殺菌しなければならない、と言っておきながら、その規則に従って加熱殺菌すれば「乳製品は二回加熱殺菌してはならない」という規則に抵触するというわけらしい。

これにはさすがのダシュタキさんも呆れ返り、秘伝の手作りグルメヨーグルト販売で起業することは諦めたという。

この起業家の熱意を打ち砕き、引き換えに州民を不法ヨーグルトによる食中毒の脅威から守ったスバラシイ州は —

実はカリフォルニアである。

カリフォルニアというと、「シリコンバレー!グーグル!アップル!」「ゴールドラッシュ!」「ハリウッド!」といった連想から、起業に向いた土地というイメージがあるが、税金は高いし、規則は複雑怪奇だし、全米50州の中で最も起業に向いてない土地という定評があるそうだ。だから、カリフォルニアで起業が盛んなのは、「起業に向いているから」ではなく、「起業に向いてないにもかかわらず」と考えた方がいいのかもしれない。

携帯からお金のやりとりができる?

この記事によると、clearXchangeというシステムを介して、メールやテキストで個人間で簡単にお金のやりとりができるようになるらしい。今のところ参加しているのはBank of America、JP Morgan Chase、Wells Fargoの三行のみで、まだ試運転中らしいが、ゆくゆくは全国展開になるとのこと。現在のところ、使用料は無料だが、最近の法改正で残高不足の手数料を制限された銀行業界では、新たな収入源として様子をうかがっているとのこと。

この記事からは、これは個人間のみを対象としているのか、個人とビジネスの取引も扱うのか、とか、送金額の上限はあるのか、など、そういった具体的なことは不明。現行のものとしてはPayPalによる送金システムに対抗することになると書かれている。PayPalは、個人間の送金の場合、銀行口座とリンクさせてあれば手数料無料というのが魅力の一つだから、この新サービスが個人間で使用料を取るようになれば、PayPalを抜くのは難しいかもしれない。

わたしはよく知った人とお金をやりとりするには、INGDIRECTの送金システムを使っている。相手の口座番号を知らせてもらう必要があるので、親しい人とのやりとり以外にはちょっと使いづらい面がある。(実際問題、相手の口座番号を知ったからといって、その残高を知ったり、口座のお金を失敬したりすることができるわけじゃないから、問題にする必要はないと思うのだけど。)でも、送金手数料無料、INGの口座同士なら瞬時にお金が動く。他行の場合はお金が実際に移るのは2日かかるが、受け取り側もチェックを銀行に換金に行く必要がないので、一度使うと非常に喜ばれることが多い。だいたい、紙のチェックが郵便で行き来するなんて、時代錯誤もはなはだしいのでは?

のぞく犬

「手抜き」の中でも犬の写真はOKと日本から言われたので、犬の写真です。

ジジは省エネ犬なので、無駄な努力はしない。いつキッチンに来れば、おやつをもらえるか、自分なりに計算しているようだ。たとえば、わたしが皿を洗っているとき(水が流れる音がするのでわかるらしい)は、自分はかまってもらえないのがわかっているから、側に寄って来ないが、水の音が止まってしばらくすると、いそいそとやってくる。そこに冷蔵庫のドアを開け閉めする音や、鍋の蓋のカチャカチャいう音が混じったりすると、もう、一目散。

今日は暖かかったので裏のパティオで夕食を摂ったが、こちらが皿を洗っていると、パティオのドアのペット専用口から鼻面をのぞかして、チラチラ様子をうかがっている。

呼んだらキッチンの中まで入って来たが、何ももらえるものがないとわかると一目散。

せっかく写真撮ろうと思ったのに。

温水器

ふっふっふ、これで三日連続更新。。。

先週の日曜日の朝、突然、温水器が動かなくなった。3年前に取り付けたRheemのタンクレス(日本でいう瞬間湯沸かし器)。そのようなこともあろうかと思って、タンクレスを取り付けた同居人が古い温水器(アメリカではごく普通のタンク式モデル)を残して、バルブ一つで切り替えできるようにしてあったので、急場はとりあえず古い温水器で凌ぐことができた。しかしこの古い温水器、いったいいつ取り付けたのかもわからない老朽機種で、そもそもこれがいつ寿命が来るかもしれないからということでタンクレスに切り替えたのだから、いつまでもこれに頼るわけにはいかない。幸い部品は保証期間内だったので、月曜日の朝、メーカーに電話したら、内部の回路の不調だろうということで、すぐにFedExで新しい回路を送ってもらえることになった。(実際電話したのは同居人。もともと温水器を取り付けたのも同居人。室内置きの機種なので、水道とガスの配管を引き、換気のために地下室の壁に穴を開けるのも、全部自分でやった。タンクレスは「エコ」で「高級」ということになっているので、工事を頼むとかなり高くつく。)

これが問題の回路。

単なる瞬間湯沸かし器のくせに、こんな複雑なもんを内蔵しとるのか?(日本のみたいに、「お風呂が沸きました」とか「ガスの元栓を閉めました」とかいちいちしゃべるわけではない。タイマー機能があるわけでもない。単純にお湯を沸かすだけの代物である。)

この湯沸かし器、販売元はRheemだが(保証書の表紙、左側の丸いのがRheemのロゴ)

どうやら作ってるのは日本のパロマ(部品の袋)

どうせ皆、日本語なんか読めへんと思て、そのままにしとるな。

パロマの瞬間湯沸かし器といえば、子供の頃、テレビ番組のコマーシャルでよく見かけた覚えがある。今になってそんなもんと地の果てネブラスカで再会するなんてね。

で、何とか取り扱い説明書に従って回路を取り替えて、まずは無事に温水器が復活。めでたしめでたし。予備の老朽温水器は、近いうちに取り替える予定。

Tattoo and copyright

今日のNew York Timesに「タイソン(元プロボクサー)の顔の入れ墨を模倣した人物を登場させた映画に関して、タイソンに入れ墨を施した彫り師が、映画の製作元を相手取って、版権の侵害であると訴えた。」という記事があった。

わたしは別にタイソンの入れ墨なんかどうでもいいし、ここで取り上げられている映画にも別段興味はないのだが、この記事で一つ気になる点があった。それは、タイソンに施された入れ墨が、マオリ族の伝統的な刺青デザインを元にしているという部分だ。ならば、版権は彫り師ではなく、最終的にはマオリ族に帰属するのではないか?

刺青をめぐる版権問題というのは先例がないそうだが、「先住民族」「版権(こちらは厳密には特許だが)」とくると、バイオ関係では先例がある。1990年代にパプアニューギニアの先住民の血液から樹立された細胞株に対して認められた特許を巡り、「先住民の価値観、尊厳を無視している」「先進国研究者の驕りだ」などと法律、倫理の面から問題になった。(たとえば、この問題と扱った当時のサイエンス誌の記事はこちら。2889186

個人的には、タイソンの顔の入れ墨のデザインなんかより、アメリカでよく見かける「変な日本語(もどき)」の入れ墨の方がずっと気になるんだけど。あれに出くわすたびに、My Fair LadyのProfessor HigginsがElizaの英語を称して言った「Cold-blooded murder of the English tongue」というフレーズが思い出されてならないのである。

今年の不動産評価額

「最近、ブログの更新が遅い。」「しかも、YouTubeをくっつけてお茶を濁すなんて、手抜きやん。」と日本から叱責の電話がかかってきた。貴重な読者に見限られてはならないので、何とか頑張らないと。。。

ということで、地元新聞のサイトをちらちら見ていたら(地元新聞は購読していないので、サイトを見るだけ)、不動産評価額を含めた地元不動産の総合サイトができたというので、のぞいてみた。

curbwise.com

いちおう自分の家の評価額は去年と変化なし。あれ、裏どなりの家はいつの間にか住人が変わってたのには気づいてたけど、売れてたのか。売れずに賃貸に出したのかと思ってたのに。うちは3年半前に買ったときの値段から評価額が変わってないけど、同時に考慮してたもう一軒の方は、当時の売値よりも評価額が一割下がってるよ。あの辺、borderline neighborhoodだから、不動産マーケットが悪くなるとダメージが大きいんだろうな。

と、地元民はいろいろローカルな思いを寄せるのだが、地元以外の方がこのサイトをご覧になって一番ショックを受けるのは、なんといっても不動産の値段だろう。本日のトップページにある「最近のbiggest sale(高額物件)」のお値段は$630,000。

東西海岸地域なら、こんなの高額物件に入らないでしょ。

Recent saleの初っ端は$15,000。

小さな物件だけど、いちおう一軒家ですよ。ゼロの付け忘れではありません。郡の評価額よりも低いということは、何やらワケあり物件(差し押さえ?)かもしれないけれど、それにしてもどうです、さすがはfly-over countryでしょう?アメリカ全体の個人住宅の値段の中央値が$150Kだか$180Kだかいうのは、東西海岸以外ではこういう値段で不動産が取引されているからなのです。

Can you hold the cheese?

Who moved my cheeseとかいうセルフヘルプ本があったけど、これは全く関係のない話。

同居人が電話の留守録音をチェックしていたら、マリー(教会のmusic director)からわたしへのメッセージが入っていたらしい。

「マリーからCan you hold the cheese?(チーズを押さえる人を探してるんだけど、あなたできる?)ってメッセージが入ってるで。チーズ押さえって何やねん?」

わたしはすでにマリーと直接話をして、この件は片が付いていたのだが、押さえるのはcheeseではなく、keys、つまりオルガンの鍵盤のこと。

ピアノの調律なら調律師ひとりで鍵盤を押さえながらネジを操作することができるが、パイプオルガンの場合はそうはいかない。パイプの調節装置は個々のパイプに付いているので、鍵盤を押さえながらそれを操作するのは不可能。そこで、調律師の指示に従って鍵盤を押さえる人が必要になる。これがCan you hold the keys?という質問の正体だった。

鍵盤を押さえる順序は、パイプの並んでいる順番に従う。だから、隣り合わせの鍵盤に相当するパイプが実はパイプの森(?)の反対の端にある、とか、そういった外から見ただけではわからないオルガンの秘密(?)に触れることができる。

例のごとくYouTubeを探したら、やっぱりあった、オルガン調律のビデオ。

徒然

気がつけば、前回の更新から約3週間。とくに代り映えのしない毎日である。(カワリバエってこんな漢字なのか?)毎日、朝から仕事に行って、自分の実験を仕込んで、学生の尻拭いをして、あれこれセミナーとかミーティングとかに追いまくられて、家に帰ってきたらオルガン練習して。。。

ちなみに今、練習してるのは、メンデルスゾーンのオルガンソナタ6番。

YouTubeって本当に何でもあるのね。リンクを貼ったこのビデオは、動画がないので一本のビデオに全曲入ってるという理由で選んだだけで、演奏としてはちょっと刺々しくってあまりわたしの好みではない。個人的にはこの曲の最後のAndante – Finaleの部分が好き。Church musicianの間では、ときどき「自分の葬式にはどの音楽を演奏してほしいか」という話が出るのだけど、これは十分その候補に入る。

最近読んでいる本は、The Emperor of All Maladiesという癌に関するノンフィクション。今年のピュリッツァー賞を受賞したそうだが、とにかくものすごく面白い。サイエンスノンフィクションでこんなに面白いと思ったのは、The Eighth Day of Creation以来。大学院生の必読図書に指定したいところ。読了したら改めて感想を書きます。