善意であることはわかるのだけど…

ツイッターで流れてきた情報で、Susan G. Komen for the Cure という非常に大きな影響力を持つ乳がん支援団体でちょっと微妙な署名集めが行われていることを知った。

リンクはここ。 –>

もしかしたらこのページは閉じられるかもしれないので、スクリーンキャプチャーを貼っておく。(画像をクリックすると大きくなります。)

大雑把な内容は以下の通り(意訳):

「日本におけるガン死を防ぐために署名にご協力を」

原発事故により日本でガンが爆発的に増える恐れ (looming cancer crisis (訳注: これはかなり刺激の強い表現)) があります。国際コミュニティが今、ここで声を高くして、日本を援助しましょう。

過去の原発事故による放射能被ばくによって、大勢の方がガンで亡くなりました。日本はチェルノブイリの再現になる恐れがあります。(訳注: こら、何を言うか!) スリーマイルでも、発電所近辺住民のガン発生率は高くなっています。被ばく量により、白内障、ガン、先天的障害などが起こる可能性があります。

このような悲劇を繰り返してはなりません。

この署名活動に参加して、今回の事故の詳細、放射能データなどが公開されるよう、協力してください。(後略)
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ちゃんと読めば、言ってることは真っ当なのだけど、ちょっと斜め読みした場合、「えっ、今日本に住んでる人は、もう危ないんだって???」という印象を招きかねない。つまり、おバカな健康保険会社の連中が、こういう情報を中途半端に理解して、「2011年3月に日本に住んでた?はい、あなたはガンリスクが高すぎるから、普通の健康保険に入れません。ハイリスク向け保険を申請し直してください」などということになりかねないのである。

いちおう、この団体のサイトから、このページの文言はちょっと刺激的すぎること、早とちりした健康保険会社が日本から戻ったアメリカ人の健康保険差別をする恐れすらあること、さらに、放射線量データはすでに政府のサイトに公表されているから、それを参考にすればいいことなどを書いてメールを送ったけど、一般雑魚市民にどのくらいの影響力があるのかはよくわからない。

ときには、善意ほど始末の悪いものはない。

Text message (SNS) で寄付できますよ

ツイッターなどで、地震に対する寄付の情報がいろいろ流れているいますが、これは見かけなかったように思うので、紹介させていただきます。

テキストメッセージでアメリカの赤十字 (American Red Cross) に寄付すると、電話料金に上乗せされるそうです。クレジットカード情報を入れたくない場合など良いかもしれません。(わたしは試したわけではないのですが、元情報は New York Times です。)

[引用] Red Cross officials say donors can text REDCROSS to 90999 and a $10 donation will automatically be charged to donor’s phone bill

地震

今回の地震のニュースを最初に知ったのは、ツイッターからだった。木曜日(アメリカCST)の夜、ツイッターを見てたら、「まだ揺れてる」とか、「オフィスのパーティションが動いてる」とか、どの人もこの人も地震の実況中継。関東地方に少し大きな地震があると、ツイッターの画面(タイムライン、TLと呼ばれる)が地震実況中継一色になるのは珍しくないので、ああそんなもんかと思っていたら、そのうちに「津波警報」だとか「仙台駅の写真」だとかが登場するようになり、これはただ事ではないと気がついた。

本当にこれが「ただ事ではない」「観測史上最大級の」地震であることを知ったのは、(CST)金曜日の朝。TLは首都圏の交通情報、トイレや仮眠施設の情報、それから「俺、もう4時間歩いてる」とかそういうのがびっしり。それに混じって、震源に近い被災地の人探し、救助を求める声などが見られるようになった。

金曜の夜からは話題の中心は原発の状況。冷静な日本の核物理の専門家の声に混じって、恐怖感をかき立てるような「評論家」のツイートが出没。原発事故というのは諸外国(といってもわたしが見るのは主に米英のメディアだが)のジャーナリストの感情を揺さぶるものがあるらしく、日本語より約半時間遅れみたいな英語の扇情的(meltdown! explosion!)ツイートが頻出するのに閉口した。

エジプトやチュニジアの政変が「ツイッター革命」とか「フェイスブック革命」とか称されたが、たしかに有事の際にツイッターのTLを追っていると、不思議な一体感を感じる。その意味で、今回の日本の地震も「ツイッター地震」と呼べるかもしれない。

さて、ここまでのところで思ったことをいくつか。(あとでまとめて書こうとすると、どうせ忘れるので。)

今回は、震源に近い地域は別として、東京などでは電気、電話といったインフラが音を上げた状態でも、ネットはかなり安定していた模様。緊急時には互いの安否を確認するために電話回線がパンクするので、フェイスブックみたいに「実名で」「実社会の友人知人に向けて」自分の無事を発信するシステムは有効かもしれない。これはツイッターのように自分で好きな人を勝手にフォローして情報を受け取るシステムと相補的に使うことで大きな効果を上げると思う。

そしてツイッターで重要なのは情報の質。どんな人をフォローするかで、入ってくる情報がまるで違ってくる。幸いにして今回、わたしのTLには良心的な人が多いらしく、流言飛語の類いはほとんどなかった(除く原発関連)。むしろ、「血液製剤には使用期限があるので、献血に行くなら今日すぐではなく、しばらくして皆の興味が薄れた頃に行け」とか、「個人で貢献するには、物資よりもまず金」とか、落ち着いた、的確な意見がほとんどだった。

それにしてもネットの力は偉大。神戸の震災当時にこれだけの情報網が存在していたら、どれだけ違っていただろう。人探し、安否確認電話メッセージシステムの使い方、リソースマップなどをリストしたグーグルのサイトが瞬く間に登場したし、NHKは番組をネット上で提供している。複数の情報伝達手段が存在すれば、少なくともひとつにアクセスできる可能性は高まる。

あと、こんなときにちょっと心の和む映像を見ることができるのもネットの良さだろう。節電を呼びかけるポスターサイトは、cornyではあるが、altruismの具現でもある。(う〜ん、日本語むずかしい。。。)

[追加]
救援にやってきた空母ロナルドレーガンの甲板に描かれた人文字とされている写真は、どうやら違うらしい。(出典

今年のTax

年々、税金関係の書類(1099とか)が揃うのが遅くなっているような気がするが、とりあえず2010年度のTaxが(ほぼ)終了。「ほぼ」というのは、いちおう入力は済んだけれど、最後のFile(申告する)のボタンをまだ押してないからである。

例年、TurboTaxのオンライン版を使っているのだが、今年は最初のインタビューの部分で「株式やファンドの売買をしましたか?」に「イエス」と答えたら、勝手にPremier versionにされてしまった。投資をしているとは言っても、ストックオプションなどないので、申告するのはごく単純なキャピタルゲイン、配当金、利息の類いのみ。それも、TurboTaxから証券会社の口座の情報が直接ダウンロードされるから、Premier versionなんか必要なかったのだが、いったんPremierに回されてしまったら、どうやってキャンセルできるのかも不明(入力を全部削除して一からやり直し?)だったので、不必要なPremier versionでやるはめになってしまった。

しかも2010年は日本と少々お金のやりとりがあったので、TurboTaxでどの程度のことができるのか調べるだけのつもりで「海外口座」云々の部分をクリックしたら、最終のプリントアウトのプレビューで「海外の信託(トラスト)のなんたら」という部分が「イエス」になってしまっている。ところがこれを訂正しようと思って元に戻っても、なぜか同じ画面が出て来ない。別に最終の税額が変わるわけではないので、気にすることはないのかもしれないが、間違いがあるとわかっているままで申告するのも気持ちが悪いので、Fileのボタンが押せないでいる。これ一つのために郵送にするのも嫌だし。(ちなみに郵送する場合は、必ず受け取り証明付きにしている。むこうで紛失された経験もあるし。)

よそでも指摘されていたように、何度も何度も「Audit protectionを買いませんか」とか、「プロにチェックしてもらいたくありませんか」とか聞かれるのもうっとおしい。プロといってもピンからキリまでいることはこちらも重々承知しているので(そもそも今年はプロにやってもらおうかと思って、知人から紹介されたところに電話したのだが、どうもこちらが求めているような経験がないことが明白だったので、諦めて自分でやっている、という経緯もある)、TurboTaxに勧められて「イエス」というほど、こちらもお人好しではない。

(関係ないが、TurboTaxでやって、Treasury就任前に税金の払いそこないが発見されたガイトナー、Audit Protectionは買ってたのだろうか?なんちゃって。)

というわけで、来年からはTurboTaxを見放そうかとも思うのだが、納得できるだけの代替品がないのが痛いところ。金融機関からのデータのダウンロードは、TurboTaxがいちばんスムースだと聞くし。

前にも書いたが、だいたいIRSはすでにこちらの受け取ったW-2や1099の内容をすでに把握しているくせに、わざわざ白紙を寄越して、「さあ、お前の受け取った給料や利息の額を書け!」というのも変な話だ。クレジットカード会社が白紙を送ってきて、「さあ、利用した分を自分の記録から記入して、それに合わせて払え!」と言ってくるようなもの。紙の郵便には誤配達が付き物だし、少額の銀行口座の1099が一つくらい欠けていても気がつかないこともあるし、今のタックスリターンは本当に無駄の多いシステムだと思う。

[追記]
今、ネブラスカの書類を見て気づいたのだが、「ペーパーリターンの方は、還付金を受け取るのに最長4ヶ月かかります。」と!!!よかった、還付金なくって。
しかしネブラスカ、無駄に人の金ばかり取りよって!州の所得税と固定資産税合わせたら、連邦の所得税を越えてるやん。うちの前の道路の除雪くらいしてよね。

IMSLP

IMSLP は International Music Score Library Project の略。版権の切れた楽譜をスキャンして、無料で提供しようというサイトである。楽譜だし、クラシックばかりだから、それほど多くのユーザがいるわけではないと思っていたのだが、なんと先日 New York Times に取り上げられたらしい。

この記事によると、無料ダウンロードのために楽譜の売り上げが減るのではと、出版社が心配しているとのこと。

クラシックの楽譜の値段というのはどうもよくわからない理屈に支配されているようである。昔日本で買ったワーグナーの「ワルキューレ」のピアノ版(歌手の練習用だが、わたしのような素人には、こっちの方がオーケストラ版のスコアより音楽の流れを追うのに便利である。)なんか、7000円くらいした。かと思えば、アメリカで買った「ローエングリン」のピアノ版は10ドルもしなかったように思う。ただしこっちの方は、ベルリンの壁崩壊後の東欧からどさくさに紛れて流れてきた版のようにも見える。最近は知らないが、ベルリンの壁崩壊以前は、東欧ではクラシックの楽譜がものすごく安いというのは一部の音楽愛好家の間では常識だった。わたしは1992年にブダペストに行ったが、その頃(壁崩壊3年後)でも楽譜、それもパルトークやショスタコビッチといったのがすごく安く、品揃えも良かったのを覚えている。

さて、IMSLP、わたしもしばしばお世話になっているが、結論から言うと、ちょっとこの曲、どんなのか見てみたいという時にはダウンロード版で十分だけど、実際に弾くときには今ひとつ、ということが多い。楽譜というのはどれでも同じように見えるかもしれないが、演奏する側からすれば、音符の大きさやスペースの開け具合、指使いの有無といったちょっとした部分が結構楽譜の「質」を左右する。IMSLP の楽譜の場合、版権の切れたものをスキャンしているため、普通ならト音記号表示される音域がハ音記号表示になってたり、(ハ音記号はグレゴリオ聖歌だけでたくさん!)旧ソ連の版を使ってるため(これも版権対策の一部だろう)ロシア語表記、とか、あまりユーザーフレンドリーにはなっていないのである。(別に楽譜にロシア語も英語も関係ないようなもんだが、やはりオペラの配役がロシア語で書いてあると、ちょっと萎える。)あと、ダウンロードした楽譜をレターサイズに印刷すると、やはり小さい。普通の楽譜というのはレターサイズよりもかなり大きいのだが、そのサイズにはそれなりの理由があるのだと納得させられる。

この点では、アマゾンからダウンロードできるキンドル版無料本と似ているかもしれない。有料本がセールで無料になっているものは別として、最初から無料本として提供されているものには、目次がなかったり、いろいろと細かい部分の配慮が欠けている(わざとそうしている?)ものが多い。

ということで、わたし個人の意見からすると、ハイクオリティの楽譜を出版してる楽譜出版社は、IMSLP を恐れる必要はないのではないかと思う。問題は、版権の切れた古い楽譜を、それも一部すり切れたようなのを漫然と出版してる会社だろう。まあ、そういう会社は淘汰されればいいのである。