銀行の新商法?

新しいクレジットカード規制がいよいよ実行に移るようだが、それに合わせたかのように銀行から新しい「お誘い」が。

Collateral(担保)なしで2万5千ドルまで貸してくれるという。金額からみて明らかに、これまでならHELOC (home equity line of credit)を勧めていたような顧客を対象にしているのだろう。今は持ち家の評価額が落ちているから、HELOCの審査基準では通らない人も多いに違いない。クレジットカードでそれだけの額を借りることもできるだろうが、新しい法案のために銀行には何かと不便な点もあるに違いない。(わたしは詳しくは知らないので憶測だが。)そこで、クレジットカードでもない、HELOCでもない、という新手の商品が登場した、というのがわたしの推測である。(それともわたしが無知なだけで、昔からこんな商品はあったのか?)利率はプライムプラス6%から10%の変動利率だそうである。

まあ私は今のところ、今の家のローン以外に借金もないし、近い将来に借金する予定もないから、面白半分にメールを見てるだけだが、金融規制というのは全くのイタチごっこだね。

8月15日に寄せて

アメリカではVJ Day(対日戦勝記念日)は時差の関係で8月14日だが、日本で育った者としては終戦記念日といえばやはり8月15日である。ちなみに8月15日はカトリックでは聖母被聖天の祝日で、夏のバカンスシーズンの終わりでもある。今年は約一ヶ月に渡って猛暑(といっても100 °Fになるかどうかという程度だが。ただし今年は、日本並みとはいかないものの、ひどく湿度が高かった。)の続いたオマハだが、昨日の午後から涼しい風が吹き始め、いきなり夏の終わりを思わせる季節に突入してしまった。

8月6日、広島原爆記念日に合わせて、地元の平和団体(Nebraskans for Peace)が州都リンカーンで日本の原爆作家、林京子の放送劇「フォワグラと公僕」の英訳を上演するのに同居人の付き合いで行ってきた。登場するのは元米軍軍人の夫ボブの墓参に来た日本人妻ユーコとボブの亡霊、観光でそこに居合わせた日本人医師オキタ、それにユーコの孫たち。ボブはコレヒドールで日本軍に捕われ、戦争中を捕虜として富山で過ごした。ユーコは名古屋の空襲で両親を失った戦災孤児。オキタは医学生として爆撃直後の長崎に入ったという過去を持つ。

上演のあとでこの劇を翻訳した日本人英文学者ツクイノブコさん(University of Nebraskaで学んだ人で、その縁で今回のイベントが開催されたらしい)との質疑応答。原爆に対する現在の日本人の受け止め方はどうかという質問に、ツクイさんは「あまり大きな反響はない」と答えられた。その背景として、縁談し差しさわるとして被爆の事実を隠すことが多かったことなどを挙げられたが、それだけだろうか?これはやはり戦後の米ソ冷戦構造の中で、原爆をあまりに大きく取り上げて米政府の不興を買うことを恐れた日本政府の有形無形の圧力があったのではないだろうか?

同居人によると、この日の観客の多くはUniversity of Nebraskaのfaculty連中だということなので、この場の雰囲気をもって中西部辺境の一般的な原爆に対する意識を測ることは難しい。

ニュースサイトの有料化

New York Timesから「あなたの意見をお聞かせください」というメールが来た。「所要時間20分」とあったので、ちょっと嫌な気がしたのだが、(向こうが「20分」と言ってくるアンケートは、たいてい非常に長い。)こういうものにはなるべく参加するようにしているので、指定のURLをクリックした。

アンケートの内容は、「あなたはどのようなメディアを通じてニュースを知りますか?」という質問から始まって、紙媒体の新聞、雑誌の購読の有無、ニュースにアクセスするのにどのような電子メディアを使っているか(デスクトップ、ラップトップ、スマートフォン、電子リーダー)、iPadを持っているか若しくは近いうちに購入する予定はあるか、どのようなニュースサイトを定期的に利用するか。

ここまでは言ってみればまあ、時候の挨拶みたいなもので、New York Timesが本当に知りたいのはここから先。

「nytimes.comは来年から有料になります。月$10ならあなたはアクセスしますか?」

これに「ノー」と答えたら、次は「$10の8割引ならアクセスしますか?」(何でこんな回りくどい言い方をせず、$2と書かないんだろう?)

「次の料金設定のうち、あなたが一番良いと思うものを選んでください。」

この料金設定の質問が延々と続いた。日曜版(紙媒体宅配)プラス電子版無制限で月$60とか、日曜版プラス電子版記事月に10本で$20とか(正確な設定、金額はよく覚えていない)、とにかくありとあらゆる組み合わせ、値段で、これでもか、これでもかと聞いてくる。しかもページによって、同じ組み合わせでも値段が違ったり。わたしは紙媒体の宅配購読料を払っている以上、電子版に追加料金を払う気は全くないので、「以上のどれでもない」と答えたかったのだが、そういう選択肢はなかったので、適当に安そうなのを選んでおいた。ちなみにうちは同居人が紙媒体を好むので、今のところ紙媒体なし、電子版オンリーという購読モデルは厳しい。

インターネットの普及で、従来のジャーナリズムが存亡の危機に立たされていることは理解している。無料のニュースサイト、ブログが山のようにあるとはいえ、それらの記事の中には、プロのジャーナリストの記事を焼き直しただけのもの、他人の取材を元にしたものが多いこともよくわかる。でも、わたしの個人的な意見を言わせてもらうと、すでに紙媒体にお金を払ってる読者に追加料金を払わせようというのはどうもいただけない。ついでに言うと、わたしはNew York Timesに限って言えば、紙媒体に印刷されている広告も好きなので、電子版にそれが一緒に含まれてきてもかまわない。むしろ、ネット用の変なおばちゃんがお尻を振ってる品のない広告より、ルイヴィトンやティファニーの広告の方がずっと気が利いていると思う。

イギリスのTimes(Murdochの新聞)は、有料化してから訪問者数が90%減ったらしい。しかし、一部にはこれは予想通りの数字で、訪問者数が激減しても、残った読者からお金を取る方が経営上は良いのだともいう。インターネットのおかげで外国の新聞、雑誌も送料、配達の遅れを気にすることなく読めるようになったのはありがたいのだが、いったん無料システムに慣れてしまうと、有料化されるとすごく損したような気になるのは否めない。