The Thousand Autumns of Jacob de Zoet:

長崎出島にオランダ商館の書記として来日した Jacob de Zoet の目から見た日本 — 年代的に多少のズレはあるものの、実在のオランダ商館長ヘンドリック・ドゥーフ (Hendrik Doeff) がモデルと思われる。彼の任期中にナポレオン戦争の余波で長崎港内に英艦フェートン号が侵入した「フェートン号事件」は「フィーバス号」 (HMS Phoebus) として作中に登場する。

ヤコブのプライベートな恋愛物語、オランダ商館内の権力抗争、日蘭当事者同士のだまし合い、腹の探り合い、日本側の政争、そしてイギリス船の登場 — ストーリーは何重にも重なり合い、絡まり合い、はっきり言ってかなり非現実的なプロットにも関わらず、ぐいぐいと読者を引き込む力を持っている。

あと、江戸期日本というものをこういう角度から見ることもできるのか、というのも新鮮な驚きだった。これまで不勉強にして、江戸中期というのは日本史の中でもどことなく中だるみのような印象を持っていたから、なおさらのことである。いくら日本が鎖国を掲げてみても、ナポレオン戦争という世界史上の大事件からは完全に無関係であり続けることはできなかった。

背景となる時代は異なるものの、非日本人作家の描いた日本の時代小説という点で Memoirs of a Geisha を思わせる部分もあるが、ストーリー展開のうまさではこちらの方が断然上。

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