An Eye for an Eye

iPhone Kindle で読んだ本はこれでもう三冊。ふだんのわたしの読書ペースからすればかなり早い。「どこにでも持っていける」「隙間時間に読める」それから大事なのが「電気を点けなくても読める」。無料 app で無料本ばかり読んでるので、この分なら十分、短期間で iPhone のハードウエア代は回収できそうである。

これまでに読んだのは「宝島」(なぜか無料本のベストセラーの一つらしい)と「赤い家のミステリー」。A A Milne といえば「くまのプーさん」がやたらと有名だが、実は大人向けの小説も書いており、これはその彼の書いたミステリーである。

今日読了したのは「目には目を」(“An Eye for an Eye” by Anthony Trollope) 。ディケンズやオースティンと並ぶいわゆるヴィクトリアンの小説家だが、作品を読んだのははじめてである。寡聞にして “What Jane Austen Ate and Charles Dickens Knew” という非常に楽しい本で言及されているのに出くわすまで知らなかった。

嫡子の早世によって伯爵家の跡継ぎとなったフレッドは、駐屯地アイルランドの田舎で恋に落ちる。家名にふさわしい結婚を迫る老伯爵夫妻と、可憐なアイルランドの少女への誠意と、どちらを取るべきか?

ストーリー展開はヴィクトリアン小説によくあるパターンだが、人物描写とか社会批評とかがそれとなく盛り込まれていて、なるほどプロの物書きだと思わせる。「たまたま」長男に生まれたばかりに伯爵家の跡継ぎとなったフレッドは、容姿もそこそこ整った好青年だが、次第にその短慮、浅慮が浮き彫りにされていく。彼が立場を交換したいと思う弟のジャックは、もっと冷静、沈着。だいたい弟と立場を交換しようと画策したり、交換すれば事態が解決するなどと思うところからしてオツムがちと足りない。

また、このアイルランドの少女は(最初から予想されることかもしれないが)フレッドの子供を妊娠してしまうのであるが、その事実を巡る周囲の人々の反応、さらにそれを描写する書き手のチクリと辛辣な書きぶりなど、なるほどヴィクトリア期のまっただ中でも、見る人はちゃんと自分たちの社会構造の矛盾に気付いていたのだかなと認識を新たにさせられる。

さて、フレッドは「ある」決断を下し、その結果、話は「このように」終わるのだけど(ネタバレになるので書かない)、果して彼にはどのような alternative があったか考えてみるのも面白い。

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