駐車スペースをめぐる攻防 その1

前にも書いたようにエバンストンの家には駐車スペースがなかった。これはオファーを入れる前からわかっていたことではなるが、やはり敷地内に駐車スペースがあるのとないのとでは気分が違う。市役所のサイトでいろいろ調べたところ、わたしの家に合法的に駐車スペースをつくるのは不可能であることがわかった。

しかし、これで完全に諦めたわけではない。市役所の条例をさらによく調べてみると、varianceというものがあり、これは定められた規則には合わないが、正当な理由があれば規格外のものでも認めるという制度である。

エバンストンというところは妙に市民意識が高いところで、都市計画とかに関して誰でも公聴会に参加し意見を述べることができることになっている。実際に公聴会で投票するのは数人の委員だけなのだが、事前ならびに当日の市民の意見は委員の意見を大きく左右する。これには問題点も多く、都市計画のイロハも知らない素人がよってたかって公聴会を攪乱し、いつまでたっても工事が進まない原因ともなっている。

さて、わたしのように「非合法」な駐車スペースの認可を求めるvarianceもこの公聴会に提出する必要があるとわかったので、事前に何度が住宅関係の公聴会を傍聴に行った。

公聴会に出て来るケースは種々多様。市の条例で家の正面にフェンスを建てることは禁止されているので、フェンス設置の許可を求めるvarianceもあれば、既存の家の外回りの改修をすると現在の条例にひっかかるが、必要な修理なので許可してほしいとかいうものも。自分で申し立てをするホームオーナーもあれば、不動産専門の弁護士を雇っている人もいる。平日の夜、なんとなく暇つぶし感覚で来ている人がほとんどなので、そんな中でスーツを着込んだ弁護士は非常に目立つ。

ちなみにフェンスの家はわたしの通勤路にある改装途中の家だったのでどうなるのかと楽しみにしていたのだが、当事者が欠席でお流れになった。あとで聞いたところによるとフェンスのvarianceを得るのは非常に困難らしい。オーナーはさっさとフェンスを諦めて転売することに決めたのだろう。

弁護士連れで来ていたのは、一年前に却下されたという物件の再申請。古い教会を自宅に改装したい、ついては駐車スペースを設けたいということらしいのだが、前回は「自分の家から『非合法な』駐車スペースが目に入るようになると、自分の家の評価額が下がるからけしからん。」という頑固な隣人の反対があったようだ。いったん却下されると一年は再申請できない。おまけに前回と同じデザインでは受け付けてもらえない。今回は隣人以外の近所の人たちを「賛成派」として多数動員し、弁護士を雇い、自分の家を改築した場合の隣の家の価格評価まで用意して(これによると、改築によって隣の家の評価額も上がるという結論だった)、相当の準備で臨んだようである。

いくつかの事例を傍聴してみて理解したことは、こういった公聴会でのプレゼンというのはグラントをもらうときと本質的に同じだということである。

2 thoughts on “駐車スペースをめぐる攻防 その1

  • May 9, 2010 at 11:43 am
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    うちの近所の人も、ばかでかいガレージを建てるときに公聴会やってました。近所にも手紙が回ってきて。ウチは離れているし(別に後ろや横の人がばかでかいガレージを建てても何の影響もないが)、近所の不動産価値が上がるのなら大歓迎!
    賃貸物件検査条例の件で、よく参加する市議会例会でも、おばあさん2人が「ウチの前の通りに駐車する車が多く、緊急のときに消防車などが入れず、何とかしてほしい」みたいなことを発言しに来てましたが、例会・公聴会に参加する暇があり、文句をどんどん言う人が勝ち。あと、市議とお友だちになっておくのも必要かと。

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    • May 9, 2010 at 3:17 pm
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      賛成派も反対派も、事前に近所に根回ししてるようです。エバンストンの場合、公聴会で却下されたら市議会に直訴するという最終手段があるらしいので、市議との顔つなぎも重要みたいです。根回しは日本だけじゃない、いや、アメリカの方がある意味で日本以上に根回しとコネの世界かも。

      >文句をどんどん言う人が勝ち
      まさしくその通り!

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