Food, Inc.

You’ll never look at dinner the same way –
アメリカの食品産業の問題点を指摘するドキュメンタリー、「Food, Inc.」を見て来ました。

巨大多国籍企業に完全に牛耳られた食肉、穀物生産流通機構、それに対抗するように消費者の間で広がりつつあるオーガニックへの動き。大腸菌やサルモネラの問題で大規模なリコールが起こるたびにマスコミで食品業界の問題点が報道されてきたから、この映画で指摘される問題点には改めて新しい点はないかもしれない。ただ、この映画の監督Robert Kennerは、Michael Mooreのようにわざと相手を挑発するのではなく、わたしたちの日々の生活を通して、どのように食品業界の問題点を是正していくことができるか、そういう問題提起をする。

相手は膨大なロビー資金を有する巨大な多国籍企業だから、一般消費者に勝ち目がないと思ってはいけない。タバコ業界を見てみるがよい。あの手、この手で喫煙と健康への悪影響の因果関係を否定しつづけてきたが、とうとう政府に賠償金を払うところにまで事態は進展した。乳牛へのホルモン投与は、消費者がホルモン投与牛のミルクを敬遠しつづけたため、現在ほとんど実行されなくなっている。ウォルマートがオーガニック食品を扱うようになったのは、企業の良心にもとづくものではなく、単に消費者の嗜好がオーガニックにあると経営陣が判断したからである。消費者が正体不明のハンバーガーを避け、ファーマーズマーケットを支持し、高フルクトース甘味料を含む清涼飲料水を飲まなくなれば、食品業界の構造は変えられる。

このドキュメンタリーで取り上げられなかった一つの問題点は、では現在の企業化した農業ではなく、原点に立ち返ったsustainable farmingで世界の食料需要を賄うことができるかという点だと思う。現在のagribusinessは、もちろん環境破壊の問題など表に出ないhidden costはあるが、しかし数字の上では史上最高の生産性を誇っている。世界規模での食料事情とアメリカの食品産業を切り離してしまっては、アメリカ、ヨーロッパでの消費の減少を補うためアジアでの市場開発を推進するタバコ業界のようなことになるのではないか?

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