Health Care Reform

オバマ政権の選挙公約の一つが「健康保険制度の改革」で、現在これが議会で討議中なのだが、前途は必ずしも明るくない。

アメリカの健康保険制度の概要というのは、とても一口に説明できるものではないのだが、その中のひとつに、65歳以上の人を対象としたメディケアというプログラムがある。これは公的福祉制度を嫌うアメリカには珍しく、基本的には一定以上の年数、アメリカ合衆国に税金を納めた人なら誰でも参加できる健康保険制度で、これを運営するのは連邦政府である。ごく一部の企業を別とすると、退職とともに健康保険を失うのが普通となりつつある現在、多くの高齢者はこの保険制度なくては医者にかかることもできないのである。

ただ、一般のアメリカ人がメディケアのみならず、健康保険制度そのものをどの程度理解しているかというと、その点は非常に怪しいものがある。端的な例が今日の新聞の論説に載っていた。サウスカロナイナ選出の議員を囲む政治集会で、参加者の男性が、「(健康保険制度の改革だとかなんとか、最近ニュースでごちゃごちゃ言ってるようだけど、)わしのメディケアに政府が余計な口を出さんよう、しっかり頑張ってください。」と言ったというのである。その発言にさすがに驚いた議員(共和党所属、つまり、基本的にはオバマの改革案に反対の立場)が、「メディケアは政府の運営するプログラムですから、いまさら政府が口出しするななんて無理ですよ。」と説明しても、頑として納得しなかったというのである。

(ちなみにサウスカロナイナは、一月半ほど前、州知事が行方不明になり、さんざん大騒ぎしたあげく、何と知事は愛人に会いに、アルゼンチンにお忍びで旅行していたことがバレたという曰く付きの州である。おまけにこの知事、クリントンがルインスキー事件で弾劾を受けた際に、さんざんクリントンの不品行をなじりまくったという過去を持っている。つまり、ここでサウスカロライナを例に引くことによって、この論説の筆者(有名なリベラルの論説家)は「そりゃあね、サウスカロライナってのは、あんな所だからね。」というリベラル間での暗黙の了解を踏まえているものと思われる。)

一部(大部分?)の人にとっては、政策というのは理屈ではなく、思い込みと感情の問題だということを象徴するような逸話だと思う。

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