体験談

ときどき覗いている渡辺千賀さんのOn Off and Beyondというブログで「海外で働いている人の体験談募集」というのがあったので、やってみました。

1. 今いる国
アメリカ

2. 今の勤務先の業種・本社所在地
中西部の某州立大学医学部

3. 今している仕事の職種
研究職(いちおうProfessorという単語がタイトルに入っている)

4. 今のワークライフバランス(仕事時間、私用の時間の取りやすさ、休暇の取りやすさなどなど)
アカデミックな研究職というのは「仕事」というよりは、それそのものが「ライフスタイル」だと思うので、どこの国であっても8時間/週5日労働を求める人には向かない業種と思う。それをふまえた上で、仕事さえちゃんと進んでいれば、私用時間や休暇は取りやすい。仕事を抜け出して歯医者に行ったりしても、vacation timeを申請したことはない。
有給休暇は時間的にはけっこうたくさんあるが、完全には消化していない。

5. 今の生活環境(住環境、リクリエーション、生活コストそのたもろもろ)
アメリカ国内、東海岸、西海岸、中西部といろんなところに住んだけれど、今のところが住宅費は格段に安い。巨大な庭付き一戸建て、3ベッドルーム(プラス屋根裏の女中部屋)が大学職員の給料で買えるなんて、他所では無理です。
ただし、文化的なレクリエーションという面では最低。シカゴかニューヨークまで行くしかない。住居費以外の生活コスト(食費、光熱費など)は他所と同じか、他所より高いかもしれない。競争が少ないためでしょう。

6. 日本でしていたこと(差し支えない範囲で学歴・職歴。固有名詞でなくてよいです)
某国立大学医学部卒業後、4年間、病院に勤めた。

7. 今いる国に来た方法と来た動機
大学卒業後は、遅かれ早かれ研究に進むつもりだった。日本の大学院に行くつもりだったのが、「アメリカに行けば、医学部出身者はMDだから、院生じゃなくてポスドクとして就職できますよ。」と聞いたので、同じことをするなら給料のもらえる身分の方がいいと思って、アメリカに来た。
逆に言うと、日本の博士号を持っていないので、日本で研究職で就職することは難しいんじゃないかと思う。

8. 今の仕事に就いた方法
最初のアメリカのラボは知り合いの紹介で。その後は、知り合いの紹介と、求人広告への応募とが半々くらい。この仕事は実力主義ですが、それでもコネ、紹介というのは非常に大きな影響力があります。

9. 日本から今の国に来る時に用意した資金とその調達方法(借金・奨学金などは、差し支えない範囲で、どこからいくら位)
最初から給料がもらえることが前提で来たので、とくになし。日本の銀行口座は解約して、そのお金をそのままドルにして持ってきた。

10. 今いる国で日本人がゲットしやすい仕事にはどんなものがあり、その職種につくための良い方法はなにか
医学系の研究職では、日本人は昔から評判がいい。大人しくてよく働き、2、3年したら日本に帰るから、先の就職の世話をしなくていいのが便利、というのがもっぱらの定評でした。しかし最近では日本でポスドクができるから、アメリカに来る日本人は減っているのではないでしょうか。逆に、アメリカに来た日本人がアメリカに残る率は上がっているような気がします。(はっきりした数字は知らない。)特に、女性はアメリカの方がいいという人が多い。
最近ではアジア人といえば、中国人、インド人がほとんど。日本人と大きく違うのは、ハングリー精神と押しの強さだと思う。

11. 今のご自身の仕事で雇用に際しての年齢の上限はあるか。今いる国で一般的にどうか
アメリカでは定年制度は年齢差別にあたるとして廃止されたので、原則的に雇用に際する年齢制限はなし。この業界は、大学院卒業後、数年ポスドクをやって、その時点でtenure-track assistant professor(もしくはそれに類する身分)になれなかったらアカデミックな業界は諦めて企業に行くか、non-traditional career(science writer、patent lawyerなど)を選ぶかしかない、と言われてはいるけれど、その路線から外れても結構挽回はきくと思う。企業と大学を行ったり来たりしている人もいるし。

12. その他ご自由に・・・
この仕事は、好む好まざるにかかわらず、英語が共通語。ヨーロッパの学会でも英語が公用語です。文法的に正しくなくても、前置詞を間違えていても、とにかく堂々としゃべること。もじもじと小声で英語の単語をつぶやいていると、相手が聞き取れなくて聞き返す、それでますます緊張して何もしゃべれなくなる、というパターンを見ると、こちらがハラハラします。
昨今の豚インフルエンザ騒ぎを見ていると、日本の反応はすごくヒステリックだと思った。江戸時代、日本があんなにも長く鎖国を続けられたのは、幕府の力によるものだけじゃなくて、「鎖国」という状態が日本人のメンタリティに合っていたためもあるんじゃないかと思ってしまう。

4 thoughts on “体験談

  • May 19, 2009 at 3:01 am
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    私にとっては、アメリカは住みやすい国ではあったけど、永住したい国ではなかったな。。。。ちょっとものは経験で的な、外国生活で十分満足。
    研究に・・・遊びに・・・と満喫したら、スタコラサッサと帰国組です。
    やっぱり住んでいて一番落ち着く国が日本です。
    確かに窮屈で、島国根性で閉鎖的だけど、溶け込んでしまったら、守ってもらえる感じがして好きかな。。。。
    仕事の仕方も、私には合っている様な気がするから。。。。

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    • May 19, 2009 at 9:22 pm
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      日本は親切で丁寧だけど、いざとなると責任の所在がはっきりしないように感じます。「その点は、鋭意努力いたしまして」と言われても、努力じゃなくて結果を見せてよ、と言いたくなることありませんか?

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  • May 19, 2009 at 10:05 pm
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    昔の日本なら、鋭意努力という言葉だけで、あとは野となれ山となれ。。。と言ったところがあったかもしれません。
    でも今は、国民も国も言いたいことを言うようになってきているように思いますよ。
    逆に出しようもない結果を求められる程に。。。(; ´Д`)

    今の日本は何が困るって、政治がしっかりしていないこと!!
    なんだか、その場限りというか、あっちにもいい顔、こっちにもいい顔で政策に統一性がない。そして、首相をはじめ地方も含めてトップにいる人たちに判断力と決断力がない。
    今回の新型インフルエンザがいい例です。
    日本の不名誉な感染拡大(感染者世界一は時間の問題????)は、現場の意見を聞かずに、無知・無力な医系役人(?)の言いなりの結果です。この状態が続けば、関西での医療は崩壊です。
    神戸がいち早く蔓延期治療に切り替えたので、大阪もそれに習って欲しいといった所です。兵庫県・神戸市のトップに拍手 パチパチ

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    • May 19, 2009 at 10:38 pm
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      政治の頼りなさって、まさしく責任をとる人が不在だということだと思います。英語では一国の首相や大統領のことを「リーダー」と表現することがよくありますが、日本の政治家って「リーダー」という言葉にふさわしいと思えない。はじめてこの表現を聞いたとき、へえ〜、アメリカ人って、何だかんだと文句言いながら、政治家のこと、ある程度は頼りにしてるんだ、と妙に感動したのを覚えています。

      インフルエンザ、これが関東で大量発生していたら、どんな対応だったんでしょうね。関西では、皆、言葉には出さなくても、いちいち東京の役人の顔色なんか伺っていられない、という思いがなきにしもあらずだと思いますが。

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